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見習い魔術師の100の呪文  作者: ユキカゴ
第三章 ミシェール
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第六十八話 反吸血鬼派

「戻ったか、クリス=チャル・・・信じられん事態が起きた・・・!」


俺たちがエレベータから降りたと同時に、クリスに話しかける老年の男…相当焦っているみたいだ。

青いコートに、白い手袋。

背中にコウモリがバッテン印が記されている。


「どうしたの?」


ひと呼吸おいて、老年の男は話始めた。


「ミシェール軍に…ここがバレた・・・!!!」


「え…!?」


バレた・・・?

確かに、この空間は広い。

・・・だが、クリスの部屋から来る以外、この工房に入口はみえない。

まさか


「・・・今、この工房にいる戦闘員は・・・?」


「それが…何者かに襲撃を受けたようで、連絡が取れないんだ!」


と、そこで大きな音が響く。

ドゴォオオン!という音。

それは何かが破壊された音に近かった。

俺たちは、すぐにその音がする場所へと向かった。


「あの音がなったのは・・・たしか、試作品00-9Fがおいてある場所よね・・・?」


「ああ、あの場所には確か、試作プラントが置かれてあったはずだ」


試作プラント・・・?大型機械の試作品って事か・・・?

ということは、まさに心臓部を襲撃されたって事になるぞ!?


「大丈夫なのか!?」


「おい、クリス!こいつは?」


と、走る二人に後ろから質問をした俺を指差し、老年の男は、クリスに尋ねた。


「この人は、ロシル=フォート…フォーミルからのお客さんよ」


「な・・・そうか」


老年の男は、一度は驚きの顔を見せたが、そのあとに納得した表情をして、そう言った。

俺たちは、ようやく煙雲のあがるその場所へとたどり着いた。


「こ…これは…一体…!」


「どう考えても、襲撃よね」


襲撃…か、まるで魔導師が攻めてきたあの時みたいだ。

…重なる。

そこは、既に瓦礫の山と化しており、見るも無残になっていた。

そして、中心には一人の少女がいた。


「あれは・・・ジャスティス=デストラクション!?」


クリスがその名を口にすると、中心にいた少女がこちらをみる。

そして、ニヤリと笑うと


「ミスクリス…そんな所にいたのですね」


緑の装束…?

そして、右肩には、紫のコウモリのワッペンがあった。

そいつは足を軽くトントンと地面で叩くと、その足元にいた倒れた人間を手で掴みあげ、首元にかぶりついた。


「血を…吸っている…のか…!?」


俺は、驚愕していた。

クリスも同様なのかもしれない。

この老年の男もまた同じように驚いているのかもしれない。

ただ、ただそこには…血を吸う異様な姿の少女がいた。


そして、吸い終えたのか、ぺろりと口を左手で拭き、


「さぁて・・・始めましょうか・・・反吸血鬼派の皆さん?」


俺たちへ向かって、走ってきた。


「来い!グラム!」


俺は、へとむかう。

グラムは、俺の右手に握られ、そして黒いオーラを纏っていた。

俺は、グラムを振るい、黒くまとったオーラを放つ。


四頭黒龍エクスクロス!」


黒文字が、俺の腕を包む。

オーラが段々と形を変えて、龍の顔へと変貌し、それが四つに分裂していく。


「無駄!このジャスティス=デストラクションの前ではね!」


ジャスティスは、手を自分から四頭黒龍の一匹に伸ばす。

そして、他の龍たちは、各々が思うがままにジャスティスを包む。


「これで、終わりだ!」


俺は、グラムを上へとかざし、黒いオーラを伸ばす。

槍の形に段々となっていき、黒死蝶グングニルへと変貌を遂げた。

それを、俺は黒龍に包まれたジャスティスに投げつける。

グングニルは、ものすごい速さで進み、そして突き刺さった。


「…やったか…?」


俺は、串刺しにされているジャスティスを見て、そう言った。

が、次の瞬間、黒い物質は、まるで瓦礫のように崩れ、突き刺さったグングニルすらもチリとなった。


「だから、無駄だと言ったでしょ?」


少女はそう言って、いたづらな表情を浮かべた。

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