第六十七話 女島ミシェールの地下工房
「まず、どこへ行くんだ?」
「…そうねぇ…当面、あなたはここに居続ける事なんてできないし、それに”活動範囲が限られ”てちゃね…?」
…?活動範囲が限られている…?
「そりゃあ、あんたの事を言っているのか…?」
「…そうね、先ほど話をしたとおり、私の血は…トライアングルアイズの血統を引いていて、その血は一滴一滴が高価な値段で売られているの…つまりは」
「…つまりは、その血があれば、いくらでも大金が手に入る…よって、あんたの身が自分の手元にあれば…無限の血と金が手に入るわけだ」
…ノエルと似た境遇だな…と思った。
重ね合わせてしまえば…より一層、早く早くという気持ちが高まる。
俺はグッと我慢し、今この島で何をすべきか・・・
あの船は次期に堕ちた。
だとすれば、彼らは漂流しているかもしれない・・・そう都合よくいかないかもしれないが、
俺は少なからずの希望を抱いていた。
「そうか、だから活動範囲が限られると・・・だとしたら、その活動範囲とやらは・・・?」
「今から行く所が私が行ける範囲ね」
と言って、家の中にあるカレンダーをはいだところにあった電卓のようなものに数字をいれていく。
・・・何をしているんだ?
「じゃあ行こうか・・・この女島ミシェールの地下工房へ」
地下・・・工房・・・?
工房っていうと、武器や防具を作るところ・・・ってイメージだ。
「しかし、なんで地下工房なんかに?」
「フフ、それはね・・・このミシェールの地下工房は、元々アルフェグラ軍が使っていた秘密基地なの」
ゆっくりと、電卓のようなものに数字を入力したところが、床の隙間に入っていった。
すると、そこには地下へとむかうためのエレベータが用意されていた。
それに乗り込んだ。
…あ
「なるほど、つまりは」
「そう、だからフォーミルから来たあなたは、エドワードと繋がりがあると思ってね、敵ならここで潰すわ?でも、そうではないでしょう?地下工房には元アルフェグラの隊員がいるわ」
元アルフェグラの隊員…?
けれど、ガレーは確か幹部の一人だったな…
だとしたら、それよりも下の奴がいる…ということか
「…弱い奴…ガレーより…それは…」
「あなた結構失礼ね…」
な!?声に出てたのか!?
「そういえば、クリスは…「さん付けね?」クリスさんは、何かの能力を持っているのか?」
何故か本気で殺気がしたので、ちゃんとさん付をした。
…しかし、気になる。
シェイノには"目で見たものを全て焼き払う目"というものだった。
だとしたら、それと似たもの…?
「私の能力は・・・ないわ」
「え…?」
能力が…ない…?
「…正確に言うと、進化系能力…というべきね」
進化系能力…?
聞いたことないぞ
「私の血には、シェイノとは違う血…遺伝子細胞が流れているの」
遺伝子細胞…の進化系…能力…?
つまりは、遺伝子細胞が、進化する…のか?
「私の血液に、別の血を流す事で、進化する…つまり、吸血する」
きゅう・・・けつ・・・?
「血を得なければ、無能力…しかし、血を得ることで…」
「そう、進化し…トライアングルアイズも進化する…それを私は…いや、私たちは」
俺たちは、ゆっくりと開くエレベータの扉から出た。
「吸血目と呼んでいるわ」
そこは、かなり広い空間だった。
「そして、ここが地下工房よ」
そして、ついたのは・・・島の規模よりもさらに大きいと錯覚してしまう程の規模だった。