第六十四話 突破
「シェイノ、真上だ真上に火を放て!」
俺は、シェイノに指示をする。
四方向から現れた手は、それぞれ出てきた所へと引っ込んだ。
シェイノは上を向く。
そして、そこに蒼き炎が散りばめられる。
「どう?これで満足?」
「ああ!そこに…イールグをブチ込む!」
手のひらに風をまとわせる。
そして
「シフォン!俺を上へ飛ばしてくれ!」
俺は、シフォンに抱えられ
「うぉおおおりゃあああ!」
俺は、上へ投げられた。
蒼い炎へ向かって、"イールグ"を放つと、蒼い炎がその風に吸収され始める。
「これでもくらえ!」
俺は、空中で作った風を纏った蒼き炎を、下へと投げ飛ばす。
と言っても、あの黒い煙ではなく、その外側…船の操縦室へだ。
その攻撃をした直後、操縦室に魔法陣が生まれ、攻撃が吸収されてしまう。
だが
「思いのほか、他に当てる魔力もねぇみたいだな!このまま、グラムで切りつけてやる!こい!グラムッ!」
俺は、両手でグラムを掴み、大きく振るう。
そこに衝撃波のようなものが波紋に広がっていき、操縦室へと一気に近づいていく。
「いっけええええええええ!」
俺は、衝撃波を放った後、そのまま急落下し始める体を回転させ、”イールグ”
でホバーリングを始めた。
案外風って便利だなって思う。
波紋状に広がっていく衝撃波は、魔法陣にぶつかると、そのまま貫通して操縦室へと突き進み、そして操縦室を粉々にし始める。
物理的な”イールグ”や炎とは違い、俺の放った衝撃波は、グラムの作り出す次元蛇穴の影響からか、
魔力効果を受け付けない。
よって、そのまま魔法陣の影響はなく、突き進めたのだ。
スタッという音と共に、船へと降り立った俺は、シフォン、シェイノと顔を合わせる。
操縦室からは爆音が響いた。
そして、同時に船の揺れは止まり、黒い煙も晴れてきた。
「さて・・・と、これであとは本体を叩くだけだ」
黒い煙、あのでかい手。
そして、魔法陣…3つともなくなったという事は、魔力の底が空っぽに違いない。
トドメを刺すにはちょうどよかった。
「ロシル、シェイノ、そしてシフォン…貴様らの力…見せてもらった」
「ガリッツ…か…一体どこに」
「ここだよ」
「!?」
俺たちは、揃って凝視する。
そして、シフォンの喉元を片手で掴みあげる姿を、見て武器を構えた。
「シフォンを離せ!」
「ぐっ…は…」
シフォンは苦しそうに声を漏らす。
ガリッツは離す気配がない。
それどころか首をへし折ろうとすらしている。
「おっと、シェイノ、ロシル…動くなよ…動けば、こいつの首をへし折る」
「ロシル!シェ・・・イノ!俺に構わず、こいつを!はっうぐぁ!」
シフォンは苦しむ。
ガリッツはまだ首を絞め、そしてさらに強くしている。
このままでは、息が・・・。
どうすれば・・・いい・・・どうすれば!