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見習い魔術師の100の呪文  作者: ユキカゴ
第三章 ミシェール
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第六十三話 二重召喚

「あの黒い煙・・・炎でどうにかなるもんか?」


俺はシェイノに尋ねる。

すると、シェイノは、目を輝かせて


「やるだけのことはやってみるよ」


そう言った。

それに続いてシフォンは


「ダメだったら、このバルディッシュで退路を築いてやんよ、やれシェイノ」


集中し始めるシェイノ。

風が…切れる。

そして、そこから…炎が突然生まれた。


「ロシル!お前のイールグを、あれに叩き込め!」


"イールグ"…

風を生み出す呪術スペルだ。

それをあの炎の中に…放つ。

俺は、手のひらに風をためる。

そして


「いっけええええ!」


放った。

それは、煙の中にある炎へ一直線に飛んでいき

やがて膨大な風となって吹き荒れた。


「中々の強風だな…さすがは、ノエルの弟子か…」


どこからか、声がした。

その声がどこから聞こえたのか、検討もつきやしない。

が、この近くだろう。

ここは、海の上。

そして、ガリッツもまたその船に乗っている。

降りたというなら、ガリッツもまた空を飛べるだろうが、

空を飛ぶような手段を持っていないだろうと思う。


「だが、この煙は…その程度では破れぬ」


震える船。

また振動が大きくなって…


「一体…何なんだ…この揺れは…!」


「まさか…これは…」


召喚獣…!

召喚士だったってのかよ…ガリッツは…


「召喚されたのは、黒い煙…そして、デュラハン…それなら…二重召喚デュアルサモンって事か!?」


シフォンの頭には汗が。

確実に困惑している。

二重召喚…召喚士という分類では上の階級にある。

それが、目の前に、敵としているのだ。

恐怖でしかない。

震える俺、そしてシフォン。

一切動じないが、ひとしずくの汗が流れるシェイノ。


「なんだ・・・?あれは・・・」


そして、黒い煙の中から、何か蠢く渦のような模様が、数箇所あった。

それを見た瞬間とっさにからだが動いた。


「横に避けろ!」


スッと俺たちは大きく避けた。

すると、あの模様の中から紫色の巨大な腕が、四方向から中央へと、まるでパンチをするように襲いかかってきた。


「な、なんだ!?これは!?」


「考えても無駄だ!どうせこいつも召喚獣でしかないんだろう!?」


「かもしれない!それであってもどこにいるのかわからないんじゃないからどこに攻撃すべきかわからない!」


攻撃すべき所…か。

この煙すらも召喚獣だとしても、煙に物理は効果がない。

だからと言って、このままだと船が沈む。

動こうとしても、揺れのせいか自分たちの足場を守るだけで精一杯。


「さて・・・どうする」


俺は考えた。

考えるだけ考えた。

考えるよりも行動かもしれないが、1%の確率を探した。


・・・あ


「シェイノ、真上だ真上に火を放て!」


俺の作戦が成功すれば…ここを突破できる!

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