第五十三話 動く戦線
「ウードが…倒れたか…」
「メリュジーヌ様…そろそろ、教えてはくれないのですか?」
そこは、雷鳴が響いていた。
薄暗い場所で、あまり部屋の中は見えない。
見えるとすれば、メリュジーヌの人影と…
私の影ぐらいだ。
「んー?あー…あの子たちを逃した理由~?そうね…昔から、
私は甘いのよ…特に、あの子には…ね」
あの子 が、誰なのか…察しがつく。
あのロシルとかいう小僧だろう。
しかし、わかっているのか…メリュジーヌ様…
あなたは、一度…やられているんだぞ、あのロシルに。
「私の野望…望み…願望…どういう言葉が、一番合うのかしらね…」
「輪廻が…あなたの望みであるというのなら…もう、終わっているでしょう…」
輪廻計画は、既に終了している…。
二週目の旅で…おそらく、あなたがしようとしている事はただ一つだ…。
「彼との約束…果たすべきかしらね…エドワード…」
「…今更、何を…私は…今はただの傀儡人形に過ぎないんですから」
エイピロ=ヤングマン
エドワードの体を使った傀儡の存在…。
それが、正体だ。
「第二隔壁…突破を確認…3名の生体反応あり…」
「ククク…そろそろ、出番だぞ…準備はいいか、ゼス」
{システム、オールグリーン…A-102号機 ゼス 起動}
「バッチリだな…ククク…ハハハ!あっははは!!!」
「それで?こっちには何があるの?」
「…ここは昔あった大戦で使われた地下通路があるはずなんだ…そこを通れば、中に入れる」
ムユとガリッツは、合流してそこにいた。
目の前には、海沿いにあった排水口。
その中からは、汚染された水が放水されていた。
「まさか…ここを…?」
ムユは若干引き気味。
ガリッツはガッツリとした態度で
「もちろんだ」
「はぁ…今日は厄日だわ…」
そうして、二人は排水口へもぐりこんだ。