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見習い魔術師の100の呪文  作者: ユキカゴ
第一章 フォーミル
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第五話 反逆と混迷 前篇

「んーで、お嬢」


「何」


「襲ってきた奴らの一人に、こんなもの持ってる奴がいた」


と言って、ソイルは折りたたまれた白い紙をノエルに手渡した。

それを開いてノエルは…それをビリビリに破り捨てた。


「ちょ、おま…」


「いいの、こんなの…」


「国王からの手紙だろ?またラブレターだったのか」


「まあ、そういう事にしといてちょうだい」


国王からラブレター…国…王…。


「…」


「どうした、ロシル」


「い、いや…ただ、国王からの手紙って、大切じゃないのか…って」


「ええ、まあ戦争に参加しろって言う奴だからね」


「だったら、行けよ…」


「なんでよ」


彼女に、権利はあるだろう…だが、


「国のためなら、身を捨てる、それが国民だろ?」


なんて、事を言った。

俺にとって、それはなぜか当然のように、口癖の類のように感じられるほど自然に発せられた言葉だった。


「国民?いいえ、私たちは、反逆者アッテベルカよ」


「反逆者…?何言って…だったら、こんな手紙…」


「つまりは、死ねって言っているのよ、あの王様は」


俺は、その 死ね という言葉を聞いた途端、急に何か違和感のようなものを感じた。

…まるで、前に聞いた言葉で、トラウマだったように。


その時、急に地響きがした。

外だ。

大きな何かが、こちらに近づいてきている。


「悪魔…ノブ子、ソイル、ロシル、準備しなさい」


「言われなくても、準備完了よ」


「…いけるぞ」


俺は、何もかもが…急速に変化を始めたこの世界が、ぼやけ始めて、その場に倒れた。

まるで、意識が…奥底のどこかに引きづり込まれるようだった。


「ロシル!…シ…!…!」


くそ…何も、聞こえやしねぇ…や…。

そして、俺は目を瞑った。



「どういう事!ロシルが!」


「多分、悪魔に魂吸われてんだ」


「じゃあ、神姫シンキを呼ぶわ、ノブ子魔方陣の用意!私とソイルは、あいつ進行を阻止!」


「了解」


どうして、ロシルが…やっぱり、魔術回路の解放には、限界があったの!?

駄目よ…ダメよ、魔術回路を解放して死ぬなんて…!

魔術回路をつかえこなせないときに解放してしまうと、生気も一緒に抜けてしまう。

ただし、それは一時的な話。

だけれど、あいつがすぐに現れたから、それでその生気を一気に吸われて、気を失った…。

そう、考えよう。

いや、そうでなければ…自分を抑えきれない。

感情が爆発して、今にも悔しくて、自分を憎くて、

自虐してしまいそうだから。

今は、彼らを…信じ、ロシルを助けるのが先。

そう、自分に言い聞かせた。


「‘イールグ‘」


と、唱えると、手から強風を小さくつくりだし、周囲の風おも吸い込み始めた。

そして、圧縮…。

激しい音とともに、竜巻を作りだして、それを指先をまだ姿見えぬ方向へと放つ。


「ノエル!2時の方向に、魔弾が来てる!」


「‘シェイケェル‘」


シェイケェルは、周囲の魔弾を感知して、跳ね返す呪文。

ロシルを置いて、草原へ出たノエルは、ほぼ360℃悪魔に囲まれていた。


「通りで、生気の吸収が早いわけね、ソイル狙撃銃スナイパーガンで、何か見える?」


ソイルは、家の屋根から、長さ1050m程度の全長がある。

それを、軽々しく片手で構えて、スコープを覗きそして、相手を確認する。


「ノエルが、打ったイールグの方向にいる」


「距離は…ああね、まあまあじゃないかしら」


そういって、ノエルは弓を構えるように右手の人差し指と中指を丸め、

親指でそれを抑え、そして引いていく。

すると、そこから電撃の糸のような物が、蛇のように絡み付いて、そしてビリビリという音を激しくたてて、それは動く。

そして、左手には、黄金の弓が握られ、イールグが目指した先へ構え、放った。


「`カルティスオゥネ`」


というと、放った矢は、電光石火の如く、光の速さで直進した。

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