第四十五話 大切なもの
俺は、一人だ。
…どこにいても、俺を見てくれる人なんていない。
「おい、そこの」
不意に声をかけられる。
…俺は、なんと言えばいいのかわからないので、ただ、じっとその人を見ていた。
「聞いているのか?」
誰ひとりとして・・・。
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「例の子よ、”異端者”の」
「あら、やだわぁ・・・あんなのが近くにいたら…」
異端者。
俺は、そう呼ばれた。
他と外れた…という意味らしい。
周りから見れば、ただの反逆者で、僕は迫害されるべき人間に等しかったんだ。
…どこからどうみても、異端。
ノットレギュラーに、僕は無意識になった。
ああ、ここでは、人を殺してはいけない。
ここでは、自分を傷つけてはいけない。
自分を…捨ててはいけない。
自分を、蔑んではいけない。
罵声も、咎めることも許されない。
それを破れば、異端者。
しかし、僕はそれらを守った。
守ったから…異端者なのだ。
だって
「約束、したんでしょ」
ああ・・・そうだ。
約束したんだ。
守るって。
いつも、いつも・・・そうやって、僕は守り続けてた。
けれど、守ったら、みんなどこかへ行ってしまった。
・・・僕は、また一人だ。
---異端者は、ここからいなくなれ---
その言葉が、僕に釘を指す。
異端者とは、即ち外れた者の事。
それの理解をし、僕は・・・
砕けたんだ。
いつしか、ここには僕だけが異端者で・・・
他の人たちは皆…いなくなってた。
「会いたいか」
会いたいよ。
みんなに。
いつもいつも…僕だけ一人ぼっちは嫌だから。
除け者になんか…されたくないんだ。
「なら、作ればいい」
え…?
「君の創造すべしは、想像じゃなくて、創造なんだよ」
響く声。
誰かわからないその声。
その声は…誰。
「君は…原初の魔術師だ、君は創造者だ」
違う…。
僕は、創造者じゃない。
僕は、人間だ、神じゃない、高みにあげるな。
「いいや、神じゃない、されど、人間…っと言っても、人間のワンランクうえぐらいの存在だ」
何を…言ってる…?
「この世界は、君の世界…僕を作り上げたのは、君だろ?思い出してご覧よ…君は
いくつの世界を作れば、気が済むんだい…?」
「あ・・・あぁ・・・」
僕は咄嗟に声を出した。
僕は…僕は…あれ…?
どうして…どうして?
「生まれる世界に君はいた」
一人ぼっちな君は、友達を作った。
最初の友達の名前は
君の名前は、今日から
ロシル=フォート