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見習い魔術師の100の呪文  作者: ユキカゴ
第二章 ガレー
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第四十五話 大切なもの

俺は、一人だ。

…どこにいても、俺を見てくれる人なんていない。


「おい、そこの」


不意に声をかけられる。

…俺は、なんと言えばいいのかわからないので、ただ、じっとその人を見ていた。


「聞いているのか?」


誰ひとりとして・・・。


-------


「例の子よ、”異端者”の」


「あら、やだわぁ・・・あんなのが近くにいたら…」


異端者イレギュラー

俺は、そう呼ばれた。

他と外れた…という意味らしい。


周りから見れば、ただの反逆者で、僕は迫害されるべき人間に等しかったんだ。

…どこからどうみても、異端。

ノットレギュラーに、僕は無意識になった。

ああ、ここでは、人を殺してはいけない。


ここでは、自分を傷つけてはいけない。

自分を…捨ててはいけない。

自分を、蔑んではいけない。

罵声も、咎めることも許されない。


それを破れば、異端者。

しかし、僕はそれらを守った。

守ったから…異端者なのだ。


だって


「約束、したんでしょ」


ああ・・・そうだ。

約束したんだ。

守るって。

いつも、いつも・・・そうやって、僕は守り続けてた。

けれど、守ったら、みんなどこかへ行ってしまった。

・・・僕は、また一人だ。


---異端者は、ここからいなくなれ---


その言葉が、僕に釘を指す。

異端者とは、即ち外れた者の事。

それの理解をし、僕は・・・


砕けたんだ。

いつしか、ここには僕だけが異端者で・・・

他の人たちは皆…いなくなってた。


「会いたいか」


会いたいよ。

みんなに。

いつもいつも…僕だけ一人ぼっちは嫌だから。

除け者になんか…されたくないんだ。


「なら、作ればいい」


え…?


「君の創造すべしは、想像じゃなくて、創造なんだよ」


響く声。

誰かわからないその声。

その声は…誰。


「君は…原初の魔術師だ、君は創造者だ」


違う…。

僕は、創造者じゃない。

僕は、人間だ、神じゃない、高みにあげるな。


「いいや、神じゃない、されど、人間…っと言っても、人間のワンランクうえぐらいの存在だ」


何を…言ってる…?


「この世界は、君の世界…僕を作り上げたのは、君だろ?思い出してご覧よ…君は


いくつの世界を作れば、気が済むんだい…?」



「あ・・・あぁ・・・」


僕は咄嗟に声を出した。

僕は…僕は…あれ…?

どうして…どうして?


「生まれる世界に君はいた」


一人ぼっちな君は、友達を作った。

最初の友達の名前は


君の名前は、今日から 



ロシル=フォート




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