第四十四話 軍艦島ガレー
ププッ・・・。
ジジジ・・・。
プツンッ
「こちら、ロシル=フォート…今、ガレーの南東にいる」
{こ…ら…シェイノ、こちらシェイノ=チャル 多分、ガレーの北にいる}
「・・・おし、行くぞ・・・」
{了解}
ガレーは、軍艦島と呼ばれる程、軍備の整った島だ。
監視モニタリングシステム…ロボットがいる。
機甲隊と名付けられたそいつらは、武装をしていて、手ごわい。
そのため、俺たちは見つからないように、7方向から攻める事とした。
通信機として、ダイヤルクリップという形をしたものを使っている。
棒状の先端に、丸くダイヤルがあり、そこがイヤホンの機能を記し、その逆の方にマイクがある。
しかし、これには欠点があり、全員の言葉を聞き取れない。
だから、周波数を二人ひと組として、やり取りすることとなった。
ペアは、俺とシェイノ シフォンとサユ イユとムユ ガリッツは、もしもの時のため、スタンバイしている。
俺たちの目的は一つ・・・。
ガレーの制圧と、兵士の確保だ。
ガレーは、その上で重要な所・・・。
ガレーの王、クェイは物分りのいいやつって話だ。
・・・ただ、ウチの停戦協定を受け入れてないのが難点だが・・・。
{・・・おい、ロシル 聴いてるの?}
「ん・・・ああ、すまん、聞いてなかった なんだ?」
不意に話かけられたので、聞いてなかった。
{ガレーの警戒が、やたらとすっからかんな気がしないか?}
「・・・ああ」
そういえば、そうだ。
どこかからの侵入者を監視するために、警戒を強化し、そして機甲隊を用意する・・・のが、普通だ。
しかし、今はそのロボット軍団が、人っ子一人いない。
一人って言葉があってるかは、しらんけど。
{…そういえば、他のメンツの姿が見えないのが不安だ、周波数は覚えているだろう?かけてみたらどうだ?}
「そうだな」
周波数 168.4 シフォンたち
周波数 189.3 イユたち
にかけてみる。
・・・シフォンたちからは、確認なし。
・・・イユたちからも。
「・・・そうか、わかった」
{なんだって?}
「確認できずっだってよ」
・・・どうして、こうなってる。
なんだか、嫌な予感しかしない・・・な。
ジジジ…
「なん・・・だ?」
{お…ザザッ…はんザザザザザザァァァッァァ}
「おい、シェイノ?おい・・・シェイ・・・」
なん・・・だ・・・?
目の前に…赤い部屋が…映る。
クソ・・・なんだ。
頭痛がする。
吐き気もする。
目をつむったら、戻れない気がして、俺は踏ん張って、目を開け続ける。
しかし、その抵抗とは裏腹に、俺の体から力が段々と抜けていく。
冗談じゃない。
何度も何度も、倒れて貯まるかよ!
「こい・・・グラム!」
俺は、手を大きく横へ振って、そう叫ぶ。
すると、そこから大きな風が生まれ、俺の腕を包む。
「次元蛇穴うううううううううう!」
でたらめに、蛇の巣穴があき、そこから黒蛇が漏れる。
そして、俺の周りを黒く染めた。
---あがきもがき、苦しめ---
「俺は、誰だ・・・?」