第四十一話 ロシルVSロシル
ここは・・・どこだ・・・?
黒い世界・・・。
いや・・・俺は・・・知っている・・・ここを・・・。
ここは・・・。
「やぁ・・・また会ったね、”僕”」
「・・・やっぱ・・・そういう事か」
そう、そこは・・・あの教会のような場所だった。
ステンドガラスから光が漏れて、七色輝くバージンロードの先に、”俺”がいた。
「おや、察しづいたようだねぇ・・・そ、ここは・・・君の世界・・・だよ」
「まったく都合のいい世界だよ・・・」
俺は、構える。
右手を突き出し、左手を腰のあたりにとめ、
そして攻撃の動作を読まれる前に俺は突進する。
「楽しそうじゃないか、やってあげるよ!ロシル=フォート!」
「あぁ、こっちこそ、やってやんよ!ロシル=フォート!」
瓜二つの彼らが、交わる。
腕と腕。
交わって別れて、交わって別れて、互いの距離を取る。
「現れろ、グングニル!」
「来い、グラム!」
俺は、風に覆われたグラムを出し、
”俺”は、雷に覆われたグングニルを出した。
そして、また近づく。
早く、そして・・・強く。
「はぁ・・・次元蛇穴!」
俺は、大きくグラムを振るい、次元の穴を開ける。
俺が振るった場所が、裂かれ、そこから、無数の蛇が”俺”に襲いかかる。
それを、”俺”は避け、グングニルと名付けられた黒い槍を俺に構える。
「その次元蛇穴じゃあ・・・僕にあてることすらできないよ、僕のグングニルは・・・君のグラムを貫く」
「グラム・・・」
俺は、グラムに話しかけるように、自分の剣を見つめる。
・・・勝てないのか?
いや、まだ勝負は始まったばかりだ。
攻撃の手段は、俺には後”イールグ”が残ってる。
どうにか、ぶち当ててやる
---恐るな、お前の剣は、---
「一つ・・・じゃない・・・」
!?
なんだ、今・・・脳裏に・・・何か・・・。
いや、直接聞こえてきた。
前にも、こんな事・・・あったな・・・。
「また、信じるぜ、グラム」
「何言ってるのか、知らないけど・・・避けないと、死ぬよ?」
シュンッという音と共に、物凄い速さで、”俺”が襲いかかってきた。
その動き・・・シフォンの牙突にそっくりだ。
これは・・・よけられない。
・・・なら
バキィィィィィィィィィイイイイインッ!!!
「受け止めるまでだ!」
俺は、グラムから次元蛇穴を放ち、グングニルの刃先にかぶりつかせた。
そして、巻き付かせて、風と共に俺はそれを手で受け止めた。
「く・・・けれど、僕の勝ちだ!」
”俺”は、力をさらに加える。
ギリギリの所で、俺の腹部に当たりかけるグングニルの刃先を、見る。
だが、これは・・・俺の勝ちだ。
「これで・・・終わりだ」
俺は、蛇たちに受け止めさせておいた刃先を離させ、グングニルを掴んだ手を離す。
そして、勢いよく突撃してきたグングニルは、俺の腹部を外れ、そのまま”俺”は、俺にのしかかる
状態で、ぶつかってきた。
今、体と体が密着した状態。
しかし。
俺の手が、”俺”の頭を掴んだ。
そして・・・”イールグ”を放つ。
「くらえええええええええええええええええええええええええ!」
「うぁ・・・ぁああああああああああああああああぁぁぁあぁああああああああああああああ!」
ドゴォォォォンッ!という大きな音と共に、壁が崩れ、風の渦が出来上がる。
「俺は、”俺”には負けない、俺は、”俺”自身を貫いてやる、お前がそうしようとしたようにな」
”俺”はもう、しゃべらない。
俺自身を・・・”俺”を、俺は倒した。
「じゃあな、俺」
---いや、もうひとりの---