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見習い魔術師の100の呪文  作者: ユキカゴ
第一章 フォーミル
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第四話 ノス

‘ノス‘…と唱えた。

いいや、口にすることもなく、ただ、口元で声を発しようとして、それが別の言葉になって…とか、そういう感覚だ。

声は出ている。でも、言葉としては成り立たず、人に聞こえない。

いいや、聞こえていたとしても、‘ノス‘は、ノスとしか聞こえていない。

けれど、発した言葉は、‘ノス‘言葉であるノスと同音であるのに、違う。


「これで、契約終了…さあ、あなたもこれで、魔術師の卵の一人」


「ま、待てよ…魔術師は誰にでもなれるんじゃ」


「そうよ、誰にでもなれる。だけれど、力を持たなければ、押しつぶされちゃうもの…そうねぇ…例えるのなら、アリを足で潰してしまう事あるよね、あれのアリの気持ちね、痛いでしょう?苦しいでしょ?それを補うというよりも、そもそもそこに何か風圧、壁、段差があれば、もしかすると、アリは生き延びることができるかも知れない。そういう理論で、安全対策として、魔術回路っていう魔術師の元素をいつでも出していられるようにしてあげる物、それが‘ノス‘。でも、一回ぽっきりだけどね」


説明が長い…まあ、俺なりの解釈だが、おそらくノエルは、力負けして、死んじゃうぐらい呪文というのは、強い力を秘めているから、それを弱めてくれる魔術回路を、常に出す物として、‘ノス‘という呪文があるから、それを発し、自らを守らせている…と言いたいのだろう。

少し、こんがらがってくる話ではあるが、まあ、そこらへんは、気にしたら、負けなのかもしれない。


「なあ、俺はこれからどうす「来たわ、ノエル…デーモンよ」」


「へぇ、結構お早い登場ねぇ…あ、ロシル、ごはん炊いてて」


「ちょ、おまっ…何がどうなって…いや、待てって!俺、ごはんなんて、炊いたことないぞ!?」


「うっそぉ・・・!?「本当だ」」


彼女は、ものすごく驚いていた。

まあ、俺もだが…。


「ま、まあいいわ…ノブ子!ソイル!行きなさい!」


ノエルが、それを言い終えるのと同時に、風が窓から入ってきた。

そして、銃声と爆発音が聞こえる。

…数秒後、扉が開かれ…。


「終わったわ、ノエル」


「お嬢、かたついたぞ」


「一人、取り逃してるわよ、‘ガクファ‘」


と、ノエルが二人の後ろを睨んで、何かを唱えると、その向こうにいた兵士は、動きを止めて、草叢に、倒れた。…距離は、およそ50m。

その距離から、ほぼノーモーションで、一人が倒される様を見て、俺は少し震えた。

恐ろしく、そして…ここにいる者たちが、只者でないという事の確信を得たことの満足感。

それらが、混ざって、不安な震えと喜びの笑みが零れ、


「俺、魔術師になってみるよ」


と、三人に向かって、言った。

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