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見習い魔術師の100の呪文  作者: ユキカゴ
第一章 フォーミル  オアシス編
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第三十七話 逆さのトライアングル

「くらええええぇええええ!」


「フ、速度、威勢・・・まずまずだ・・・しかし」


俺の猛進に全く体を動かさず。

単純に突っ立っているだけのエドワードは、目を瞑る。

そして、俺は風を操って、体を回転させつつ、エドワードの懐へ飛んでいく。


天吏てんり守護輪転しゅごりんてん


「なっ・・・」


俺は、攻撃をかわされたわけでもなく・・・防御されたわけでもない・・・。

単純に攻撃に攻撃をされ・・・中和させられた。


「な・・・なんだってんだよ・・・」


「お前の攻撃・・・俺の天吏の前では、無に等しいってわけさ・・・これで、終幕だ」


「いや・・・!」


俺のこいつを受け止められるのか・・・?

師匠に教わった、この呪文・・・”イールグ”を。

体中の風が、手のひらに集まり、球体となる。

圧縮に圧縮された風の塊・・・くらいやがれ!


「うぉおおおおおおおおお!」


「な、なんだよ・・・それは・・・!」


エドワードは、それを受け止めようと、グラムを構えるが、あまりの暴風にグラムを持った手が弾かれる。

そして、がら空きになったエドワードに圧縮したそれがぶつかろうとした瞬間。

また・・・カーン・・・という鐘の音のような音が鳴り響いた・・・。


俺は、静かに目を瞑る。

そして、次に目を開けた時・・・また、あの教会のようなところに来ていた。


「・・・なんだってんだよ・・・一体」


「答えを探しているのか、君は・・・いや、君は私だ、つまりは私・・・というべきであろうか、さてさて・・・」


「また・・・俺・・・か、答え・・・ってなんだ、俺が求める答えって・・・」


俺は、目の前にいるステンドガラスに照らされる影にそう言われる。

それに対して、俺は自分に問う。

俺の求める答え。

・・・今思えば・・・俺自身・・・記憶・・・ないんだよな・・・。

俺・・・何してんだろ。

自分の求める答えって・・・それなのか・・・!?


「・・・答えは、わかったか・・・望んだ結果、望まぬ結果・・・君に、それは託された」


「なんの・・・話だ・・・!」


「いづれ・・・わかるだろう、答えなんてもの、本当はいらないかもしれないからな」


「くそ・・・なんだってんだよ・・・おまえは!」


しかし、その問いに、そいつは答えない。

・・・代わりに、俺に手のひらを見せつけ


「プレーステール」


と唱えた。

・・・唱えた・・・?

言葉に発したものは、まるで”イールグ”のように渦を巻き続け、そして・・・”イールグ”よりも大きな風となった。


「やるってか・・・来い!グラム!」


俺の声に呼応して、俺のグラムが生成される。

そして、体中を風が纏う。


「グラム・・・覚醒・・・か・・・面倒だ、これで一気に決める」


奴の手のひらに溜まった大きな風。

それが俺に向かって襲いかかってきた。

俺は持っていたグラムをブンッと振るう。

すると、目の前まで来ていた暴風が真っ二つに切れた。


「はぁ・・・き、切れた・・・!」


「・・・そうか・・・君は・・・まあ、楽しみにしているよ・・・じゃあね」


カーン・・・カーン・・・。

カーン・・・。

響く・・・あの音が。

俺は・・・目を・・・とじた。

次に目を開けると・・・そこは、元いた崩壊した街・・・アビスパラだった。


「戻って来れた・・・か」


安堵と同時に、不安がよぎる。

シフォンは!?シェイノは!?

俺たちの戦っていたガリッツ・・・は?

その時、俺の背後で声がした。


「ロシル!」


「シフォン!」


俺は、その声に反応し、そちらへ向いた。

しかし・・・俺は、喜ぶべき所で・・・喜べなかった。


「すまないな・・・俺・・・こんな事は・・・した・・・くねぇんだけどよぉ・・・手が・・・体が・・・勝手に動いちまうんだよ・・・」


「シフォン・・・お前・・・」


シフォンの目に、輝きはなく・・・。

あるのは、黒き逆さのトライアングルだった。



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