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見習い魔術師の100の呪文  作者: ユキカゴ
第一章 フォーミル  オアシス編
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第三十六話 ディスタービア

「暑い・・・」


砂漠って・・・暑いんだな・・・喉が渇く・・・。

はぁ・・・疲れるな・・・ここ・・・。


俺は、砂漠をさまよった。

・・・いや、迷子になったと言っても過言ではない。

くそ・・・オアシスは・・・まだか・・・?


「流石に・・・疲れるな・・・ほんっと・・・」


ひたすら嘆いて歩いている。

・・・砂煙が吹いて、目に砂が入ってはこすって取り除く。

そうしているうちに、意識がぼやけていく。


その中に・・・ぼんやりと・・・見える・・・湖・・・?

青い・・・色・・・。

そして、その周りに広がる緑色の木々・・・。


「あ・・・あああ・・・間違いない・・・オアシスだ・・・!!!」


その生い茂った木々の中へ、俺は飛び込むように走る。

ようやく見つけた憩いの場に、俺はようやくたどり着いたんだ。

・・・これほど嬉しく思えたのは、いつぶりであろうか。


「ん・・・旅の者か?すまねぇな、ここ、今日は貸切なんだ」


先客・・・?

ま、まあそうか、先客ぐらいいるよな・・・。


「すいません、ちょっと水浴びだけさせてくれませんかね」


と、俺がオアシスにある影に言うと


「ああ、それぐらいいいよ・・・君、名前は?」


「ありがとうございます・・・えと、俺はロシル・・・です」


そう言うと、俺の名前を聞いたその影は少し肩を少しだけ揺らして、こちらの方へと顔を向けた。

男性だ。

俺よりも肩幅があり、声のトーンが低い。

渋い声と言えばよいだろうか、妙なリズム感を感じる。


「へぇ、君も、俺とおんなじ名前を持ってるんだな、まあ・・・通り名っていうか、自分で勝手に命名しちまった名前なんだが・・・まあ、俺はエドワードとでも呼んでくれ」


「あ、ああ・・・よろしくです」


妙なプレッシャーを感じた。

俺はそう答えた後になって、この人物の名・・・エドワードという名を思い出す。

エド・・・ワード・・・。

こいつが・・・あの伝説の英雄・・・エドワード・・・フォート!?


「ここへは、どうして?」


俺がそう聞く。

すぐには出ない答えとは思っていたが、的中したらしく、少し考えて、俺の方を向いて、エドワードは赤髪の短髪を揺らして、ゆっくりと口元を緩ませ、そして口を開いた。


「・・・なんていうかな、俺は・・・俺に会いに来た」


「自分に・・・?」


・・・?

どういうことだ、エドワードが自分に会いに来たって・・・。

まるで、ここに来れば会えるって言っているような・・・。


「なあ、ロシル・・・俺たち、似てると思わないか?一言で表すことはできないが、裏と表みたいな・・・な」


そう言った瞬間、彼は俺に向かって何かを投げてきた。

それを反射的にかわすが・・・その何かをおっている隙にエドワードに目の前にこられてしまう。

敵意をまったく示していなかったエドワードが、急に敵意むき出しにした。

なんだ・・・この冷気・・・。

相手は何もしていないのに、自分自身に喰らうこのピリピリとしたものが襲う。

鳥肌がたつ。

一筋の汗が頬を伝うと、妙にそれが冷たく感じる。

より汗の流れの曲線を意識し始め、その空間から離れられなくなる。

なんなんだ・・・あの威圧・・・。


「若いね・・・でも、いい構えだ」


俺は、いつの間にか抜いていた剣、グラムの柄を、エドワードに掴まれていて、俺は身動きがとれなくなっていた。


「うそ・・・だろ・・・」


こいつ・・・相当力あるぞ・・・?

びくともしない・・・顔を見るが、それ以上が見えない。

次の行動が・・・攻撃か、あるいは・・・。


「先読みは、大事・・・だけど、遅いな」


「ガハッ・・・」


腹部に強烈な痛みを感じ、俺は力を抜いてしまう。

その時、手から離れたグラムが、エドワードの手元に行く。

そして、そのまま倒れかけた時、またも腹部に痛みを負った。

二度目の攻撃・・・。

読むとかいう話じゃないぞ・・・。

こいつ・・・至近距離の攻撃速度アタックスピードがやたらと早い!

数秒で攻撃を連打。

その一撃一撃が重く、俺は思い通りの行動へ移せない。

・・・強く・・・なりたい・・・。


「グゥ・・・ッ」


「ほう・・・立つか・・・」


「はぁ・・・はぁ・・・」


俺は、腹に腕を持ってきて、抑える。

しかし、俺の口からガバッと出てくる血が、やたらと濃く、それに驚愕していた時。


「・・・これで、幕引フィナーレきとしよう・・・」


そう言って、俺にグラムの刃先を向ける。


くそ・・・くそ、くそくそくそくそ!くそぉおおおおおおおおおおおおおおお!

強く・・・なり・・・たい!強く・・・もっと・・・もっと・・・!

その時・・・俺の体の芯から、何かが溢れ出した。

そう・・・いう感覚に見舞われたと言っても過言ではない。

一言で言うなら、それは電撃。

体中にビリビリと伝わるそれが、俺の脳髄まで通じた時、分泌される何かが・・・俺の体中を巡った。


「うぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!」


「くっ・・・な、なん・・・だ・・・?」


体を大きく包み込む大気・・・。

その大気が、俺の腕、足、胴体を包み込む。

それが、近くの草木をすべてカマイタチの如くなぎ払う。


「来い・・・グラム!」


そう言うと、俺の左手に、グラムが生成され始める。

その形は・・・いや、グラムそのものではない。


乱心ディスタービアか・・・」


「行くぞ・・・そのグラム、返してもらうついでだ!」


「正気でなければ・・・お前は、俺を倒せない」


「やって見せる・・・!」


俺は、風を纏い、そしてエドワードへ突撃した。

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