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見習い魔術師の100の呪文  作者: ユキカゴ
第一章 フォーミル  オアシス編
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第三十二話 ロリティックキッス

「キス・・・してもいいかな」


「なんだよ・・・いきなり」


突然、接吻要求をしてきたシェイノ・・・なんのつもりなんだろうか。


「なんのつもりだ、シェイノ・・・?」


はむっ・・・という小声と共に、俺の唇にシェイノの柔らかい感触が伝わる・・・。

え・・・?まじで・・・?


「これから、あなたに、伝える事、ちゃんと聞いて」


そう言うと、シェイノは、自身の目を、俺の目にゆっくりと近づける。


(・・・なんだ・・・様子が・・・おかしい・・・)


「避けろ!ロシル!」


「!」


俺は、その言葉で、我に帰ると、両手でシェイノを押す。

そして、気がつく。

自分の体が動けることに。


「痺れが切れたか・・・」


シェイノから、そんな声が漏れる。

どういうことだ・・・?


「ロシル、気をつけろ・・・あいつ、操られてる」


と、シフォンが俺の近くによって、言う。

その時、俺の脳裏に蘇る、シフォンの言葉・・・

「手のひらには魔王の眼っていう相手を操る能力があるもんがついてた」


「・・・まさか・・・」


俺は、悟りつつあった。

そう、その言葉通り・・・その姿が煙の中から現れつつあったからだ。


「流石に驚いたぜ・・・あんな一瞬で、俺たちが全滅なんてな」


あの麻痺煙”もどき”は、ただの思わせだ。

本当は、”ただの煙幕”を出し、”シェイノの火力を増加させたように見せかけた”。

俺たちは、遅れてシェイノの方を見る時、その視線が目に写ってしまっていた。

煙の中にある”目”の存在を。


シェイノは、自身の目の能力を使ったあと、次の行動へ移る時、インターバルが出る。

と、いうのも、目が開いたままになるのだ。

しかし、それは一瞬。

されど、一瞬なのだ。

目は、シェイノを捕らえ、その時点で、シェイノは操られた。

その結果が、「麻痺煙」という言葉につながる。


この時・・・操られたのは、俺とシェイノ”だけ”だった。

・・・シェイノは、完全に操られたが、俺は幻聴を見せられただけだった。


「なんだ・・・そんなことだったのかよ」


「今、俺とお前しか動けない・・・シェイノは操られてると考えていいだろう・・・

油断したな、まさか・・・生きてたなんてな・・・ガリッツ」


鎖につながった黒色の鎌が、背中から手前で出る。

シフォンのバルディッシュだ。

今は、エクダストで、実体化している。

それを刃を上に、

そのまま槍を構えるように持っている。


「ガッハハハ!俺を知ってるのか、小僧!」


煙の中から現れたのは、情報通りの黒い左腕の肩に大きく3つの突起物が突き出ており、

そのまま腕の形をしているが、手の甲に目がむき出しとなっており、また尖った獣の爪が、5本の指にそれぞれ生えていて、とても鋭い。

そして、それ以外で言っても、巨漢・・・この一言に尽きる。

とにかくでかい。200cmはゆうに超えていると見える。

白い布が体中に巻かれ、腰に、肩に、足に伸びている。

そして黒く足元まで伸びた紅く伸びた布。

とにかく、どこかの偉人に見える服装だが、髪型がボサボサとしている。

目は・・・前髪で隠れている。

髪の色は、茶髪。

あの腕がとても威圧を放っているように見える・・・。

こんな奴を相手にするのか・・・!?

無茶だ。

勝てるはずがない。


「ロシル・・・今からこいつを相手にしたら、まず間違いなくやられる」


と、シフォンが俺にいう。

じゃあ、どうしろってんだよ・・・


「ロシル、シェイノは・・・お前が助けろ」


「何言ってやがる、お前・・・まさか」


俺は、悟った。

シフォンは、こちらを見て、真剣だ。

と思わせる顔をした。

しかし、その顔は、死を覚悟した顔だと・・・。


「いや・・・二人でやろう、俺たち二人なら・・・いけるはずだ」


シェイノは、失うわけにはいかないし、シフォンを失うわけにはいかない。

人を失う悲しみを、あいつ(ノエル)に背負わせるわけにはいかないんだ。


「ロシル、死ぬかもしれないんだ、ここは・・・俺一人に」


「お前、まだそんな事言ってんのか!グチグチ言って、死んじまったら意味ねぇだろうが!」


俺は、シフォンに怒鳴る。

思わず・・・だ。

怒り、いや・・・なんだろう・・・。

あいつに、喜んでもらいたいから・・・か?本当に?それだけ?


「ロシル・・・お前・・・」


「一人の犠牲で、事が済むんなら、あいつ(ノエル)は、泣いたりしねぇよ!あいつに、喜んでほしいんだろ!だったら、生きて帰るぞ、いいな!」


「・・・わぁたよ・・・いくぞ、ロシル」


そして、俺たちは・・・ガリッツから、シェイノを奪い返す戦いを始めた。

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