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見習い魔術師の100の呪文  作者: ユキカゴ
第一章 フォーミル
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第二十五話 メリュジーヌ

「さあ、来なさい?相手してあげる」


メリュジーヌは、目を細めて、口を緩め、さらに左手をクイクイと曲げ、挑発してきた。

ノエルは、それに対して激怒し、人差し指に、風を積もらせる。

俺は、シフォンと共にお互いの武器を振るってメリュジーヌへ向かう。


「フフ、いいわねぇ、好きよそういう闘争心に駆られる人」


「るっせぇ!てめぇのその減らず口を、減らしてやるよ!」


メリュジーヌの付近に佇む八つの首を持つ蛇がそれを迎撃しようと突撃する。

俺はそれをグラムで受け、そして跳ね返すが、次の攻撃によって押し返される。

シフォンは他の蛇の相手をするが、3対1では太刀打ちできず同じく吹き飛ばされてしまう。

その後ろでノエルは”イールグ”を放つ。

俺を押し返し、そのまま投げ飛ばした蛇の顔に直撃し、大きくひるむ一匹の蛇。


「ノエル、やるようになったわね~…八岐大蛇に対してダメージを与えるなんて」


「なめんじゃないわよ!これでもあんたよりも勝る強さなんだからねっ!」


「へぇ、何が勝ってるっていうのぉ?あぁ…そのお乳様かしらぁ?ちょこっとの差で私の勝ちよ、諦めなさい」


と、二人は、互いに胸を張りあう。

…なんていうか…そんな気になる所か?

そんな事を俺は考えつつ、目の前にいる蛇の対処に移るが、思った以上にやるな…。

連戦のせいで、かなりの疲労がたまった上にこんな強敵相手…無理あるぞ…。

俺はもはや根気だけで体を動かしているぐらいだ。

フラフラになりつつ、グラムを振るうがその力は衰えるばかり。

このままじゃ、時間の問題だ…。


「くぐ・・・ぁ・・・」


「ロシル、諦めんな!粘れ!うぉっ・・・!」


「やられてんじゃねぇか、お前も頑張れよ!粘れよ!」


そういって、俺は油断していた体を立て直したが、シフォンは一気に3体を相手にされているために、実力を発揮できないどころか、まともに対処できない。

そのため、一番余裕があるのが、ノエルだが…あれは…空元気だろう。

先ほどの取っ組み合いに加えて、三姉妹の戦い、さらにはシフォンとの戦い…ここに来るまでに使った呪文の数々…。

生命力を維持できるかというと…あの小さな体に到底できないと思える。


「フフ、ダメねぇ…それじゃ、話にならないわあなたたち…少しはできると思ったんだけどねぇ…それじゃあ、ウード以下ね」


そういって、メリュジーヌは心底残念そうな顔をする。

一体あんたは何がしたいんだ。

しかし、その言葉の後半につられたのか、ノエルがその名前について問う。


「ウード…!?あんた一体何者よ…!」


「今更それ、聞く?私は、大魔女の名を継ぐ者…メリュジーヌ…その何物でもない、日の終わりに我が肉体は生まれ変わり、そして日は巡る人として、エドワードさんを支え続ける者…フフフ、ハハハ!」


突然笑い始めたメリュジーヌ…。

それを不気味に見る俺たち…。

そして…日は落ちる。

メリュジーヌの背後に、月が上り、そして俺たちの背後に太陽が落ちていく。

すると、段々とメリュジーヌの体に異変が起きていく。


「満ちる…満ちていく…私の素顔…最後の最後に、愛したエドワードさんに見られてしまった…フフフ、アッハハハ!お前らはワタシを見てしまった…普通なら今ここでコロスけれど…今度にして あ・げ・る★」


と、言い終えたと同時に爆発音が鳴り響き、左右の壁から巨大な蛇、そして天井すら崩れて来た。


「残念だけど、そろそろお別れね…ロシルくん、あなたには教えておいてあげる私の子、8人のメリュジーヌが、いずれあなたたちを襲う…楽しみでしょぉ?でも、油断しちゃダメよ…私を超えるなら、倒したいのなら、その子たちを倒しなさい、それが私が最後にあなたに教えてあげられることよ、師匠を忘れないでね♪それじゃあ、1の呪文、返してあげる…それないと、あなた弱いもんねぇ」


崩れゆく城の中、メリュジーヌは俺の所だけを安全地帯にし、そう続けていく。


「どうして、俺なんだ!俺に…何ができるっていうんだ!」


俺は、そういう。

怒鳴るようにそういう。

しかし、その言葉は…おそらく的外れだ。

こいつは…楽しんでやがるのだから。


「ま、勝手に自分で考えなさいよ、あなた自身の抱える問題に興味なんてな~いし、まあ私に勝ったら、教えてあげるわ~?」


メリュジーヌは、そういって、いつの間にか持ってきていたエイピロの死体を蛇に絡ませ、そして首元に噛みつかせる。

すると、エイピロは痙攣したかのようにビクビクと体を震わせる。

な、なんだ・・・?

まるで生きているようだぞ…?


「私のラ・ビネスチェにかかれば、死を無くすことすらできる…ラ・ビネスチェは私が悪魔から奪った能力…そして、今は私の能力…あぁ、いいわぁ…これが、無敵の力…ククク…あなたに返すって言った1の呪文、じっくりあなたの中で…炒めて熟して、そして返しに来てね、楽しみにしてるかぁ~ら」


そして、カプリとかみついていた蛇の首がこちらを向く。

その歯からは血があふれ出ている。

エイピロの首元からも、その血が出ている。

…生きている…?

どうしてだ、今さっき死んだはずだ…。


「ラ・ビネスチェ…まさか、不死っていうのは…」


「あぁ~もう、何でも聞いてくるわねぇ…そうよ、ラ・ビネスチェは不死の力を与え、そして加減するスキルも個々によって与える最強の呪いよ・・・よって、このエイピロも死してなお、息絶えることはない、これこそが不死・・・して、歳を取らない・・・永久の美、それこそが不死だと思わな~い?」


俺が問う事に苛立ちを覚え始めたのか、そんな口調でいってきた。

俺は、それに対して少し身を引いた。

が、俺の背後に崩れた瓦礫が落ちてきたので、前に身を出すと、目の前まで来ていた蛇に首を噛まれ…。


「ぐぁ…っぁ…」


噛まれた瞬間に体中に広がる脱力感…そして、喪失感から満ち溢れる満足感…。

何で…なんで…満たされていくんだ…。

痛みはない…むしろ、快感に近い…。

まるで…それが幸せに感じるだけで…麻酔を打たれているかのように…


「白蛇には、甘いあまぁ~い麻酔効果があるのよぉねぇ…ま、快感になるだけだから、いいだろうけどさぁ?前にそれしすぎて中毒になった人いるのよねぇ…ま、これで返したから、じゃ」


そうして、メリュジーヌは…去った。

一瞬で…そして、エイピロも…。


俺は…崩れゆく瓦礫の中に…倒れた。



(ここは…どこだ…)

見渡す限りに、赤い世界…。

所々には絵具を塗り手繰られたようになっている。

…冗談だろ…。

口が…開かない…いや、開けない…。

…ここは…どこ…なんだ…。


「目が覚めたか、オーナーがお待ちだ、来い」


(…オーナー…?)


俺はそう告げられ、体勢が低かったのが、自分が寝込んでいたのだと悟ると、すぐに立ち上がろうとする…すると、そこには…


「!?」


切り傷だらけの腕。

体を見渡すと、所々に付けられた鉄筋が刺さり、また鉄で部分的に埋められた部分から血が漏れてもう…焦げたような色をして乾いている…。


「行くぞ、ルーク…急げ」


ルーク…俺は…そういう名前…。

そう、認識すると、俺はそいつについっていった。

そいつは、黒い表装に身を包み、目が赤く光っている以外まったく表情も読み取れない…。

…くそ…一体、なんだってんだ…。

堅く閉ざされている扉を開けると…そこから一気に光が漏れ始め…

そして、オーナーらしき者が現れた…。


「やあ…君が、ルーク…ルーク=ウォリアーだね」


そいつは、事務椅子に座っていた。

顔はつるっぱげで、目にはゴーグルをつけている…首元からは、俺と同じような鉄が付けられていた。

他は、紳士服を着ている。


「あんたは…?」


俺はようやく動いた口で、そういった。まだ慣れない…。


「クェイ=ガレー…ここで、オーナーをしている…ここ…まあ、つまりはこの島の名は…ガレー島…そして、君は選ばれた…私に一つ…貸を作ってみないかい?」


なんだか妙な話だぞ…こいつ…貸だと?


「ふざけるな、大体なおm…」


「口を慎め、機甲風情が」


俺は先ほどの黒い表装に身を包んだ奴にそういわれた。

声はロボットのような声だ…。

ただ、男…?と断定できる。

ついでに、俺の背中にどこから出したのか、刃物を突き付けてきた。

こいつ…しかも、この目の前の奴…。

強制かよ。


「…わかった、ただし…条件がある」


俺は、そういった。

ついで、またあいつの口が挟まれると思ったが、今度はクェイの方が早かった。


「ほう…どんなだね」


そいつは、笑みを浮かべている…。

フ、どうせならドでかい事言ってやる…。


「俺が望むもの…それは…」


(第二章に続く)

第一章…ようやく終えました…

次回から第二章です!

第一章でメリュジーヌという目標ができたロシル一行。

彼らは今後どうなっていくのか。

そして、メリュジーヌの本当の目的は…?

最後にあったあの話と、あの赤い部屋とは!?

第二章…こうご期待

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