第二話 ロシル
「お嬢が戻られる…か」
「フフ、うれしそうね?」
「そうか?」
豪華なシャンデリアに、金の椅子…。
そして、ホワイトタイガーの皮膚で作られたシート…。
まるで、豪邸のようなそこは、分厚い本の本棚で囲まれていた。
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「しかし、ここは一体どこなんだ・・・」
「ここは…そうねぇ、強いて言うなら草原?」
「そんな事わかってるよ!」
一面に広がっている草原。
かつて、自分が記憶のある時に、ここにいたのか…?そんな疑問を自分にぶつけていた。
ノエルと名乗るこの魔術師はアテにできるのか…?
まあ、そんな類を想像していた。
「…ところで、さっきの風…あれ、どうやったんだ?」
「え?ああ…‘イールグ‘ね」
彼女が、言葉と言葉の間に何かを発すると、風が手から目に見えるぐらいに激しく螺旋を描いた。
「それ、どうやるの?」
「これは、呪文よ」
「呪文?なんだ、それ」
俺は、彼女にまとっている風をみつつ、彼女に質問をした。
回答としては、呪文は魔術師の根本にして、魔力源であり、それが魔術師の証明でもある。
とか、なんとか…俺には難しくてよくわからなかった。
「あ、ねぇ君…私の弟子にならない?」
「で、弟子?俺が?魔術師の?」
「そう、別にいいでしょ?」
「…」
彼女の目は、キラキラと輝き、若干俺よりも背の低い彼女は、上目で俺を見る。
それに耐えきれず、俺は目をそらすが、すぐに彼女はそれを追った。
「とりあえず、これから君は、魔術師の弟子…見習い魔術師として生きていくことにケッテー!」
「ちょ、ちょっとまてぇえええええ!!!」
こうして、俺は…見習い魔術師となった。
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「とりあえず、聞きたいことがあるが…」
「なんだ?」
「俺をどうしてここへと呼んだ?」
そこには、二人の男がいた。
迷彩服をきた男。
軍事服を着た男。
そうして…後輪月下と掲げられた旗。
後輪月下とは、一度後退し、敗北からの勝利を掲げる言わば、下克上のようなもの。
旗揚げは、これを上げるのだ。
「さて…どうしてだと思う?」
「…」
「ククク…」
迷彩服を着た男は、不気味笑いを溢した…。
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「たっだいまぁ~!」
そこは、二階建ての家。
広い草原にちょこんとある家。
まるで、砂漠の中のオアシスかのようである。
「まったく…なんて所に家建ててんだ…」
「おかえりなさい、ノエル…あら、その子は?」
「帰ったか、ノエル!」
扉を開けるとそこには、グルグルメガネをかけ、オカッパ頭の女性とボサボサ頭のスーツの男がいた。
「紹介しよう、この子は…えと…うん、ロシル!」
「おい、ちょ…」
「よろしく~ロシルくん」
「…お嬢、こいつ…」
俺は、色々と混乱していた。