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見習い魔術師の100の呪文  作者: ユキカゴ
第一章 フォーミル
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第二十一話 ロシルVSシフォン

俺は、ノエルと合流を果たした。

しかし…


「ねえ、ノブ子は?」


「それが…なんか、どっかに行ってしまった」


「…え?なんで!?」


「さあ…」


本屋さんが何を思っていたのかわからないけれど…。

でも、いつもの彼女じゃなかった。

一体…何があったんだろうか。


「…いいわ、それよりも…ロシルの呪文を取り戻すわよ」


「ああ!」


そして、俺たちは、目の前の王宮への階段を上り始めた。


「シフォン」


「…はっ」


「お前が次に行くがよい」


「…かしこまりました」


「…早く行け」


くそ、また出撃か…。

相変わらず鬼畜だな…この王。

まあ、あいつら相手なら…問題はないが。

どちらにせよ、行くしかない…。


「…ノエル、ロシル…お前たちがここを突破すれば…いずれ、ここの真実を知ることとなる…それは、阻止しなければ…」


俺は、王の間を出た。


階段を登り終える所で、俺たちは立ち止まる。

そこで、俺たちを待っていた人物…。

茶色のフードコートに、オールバックの髪。

そして巨大な鎌を持つそいつを、俺たちはよく知っていた。


「よう、ノエルに…ロシルっつったかぁ?」


「…シフォン…」


「なんだぁ、ノエル…そんな悲しそうな顔して…」


先手必勝…だ!

俺は"グラム"を地面を蹴ってシフォンの目の前まで飛んでから振るった。

それをひらりとしゃがんで回避するシフォン。

俺は、そのまま”グラム”を上に向けて、振り下ろして追撃する。

それを巨大な鎌で受け止める。


「くそっ…やるな…」


「色々とあったんでな…少しはこいつの使い方も学んできたぜ…喰らえっ!」


次元蛇穴をこのまま発動し、そして当ててやる!


「舐めるなよ!」


しかし、シフォンは、俺の”グラム”をその持ち前の怪力で弾き、俺はそのまま身を転がして後転してノエルの所まで戻される。

丁度ノエルのスカートが風でふわりと動き…。


「ちょ、どこ見てんの!」


「ぐわっ!」


俺はノエルの青と白のストライブを少し目に焼き付けて、鼻から鼻血を出して情けない顔になったまま立ち上がった。


「…さて、ここは通せない」


「…なら、戦うまでだ」


「一度敗北を期したが…今度はそうはいかない…」


「かかってこいよ・・・」


「行くぞ…”次元蛇穴”!!!」


俺は、大きく”グラム”を振るい、そこから生まれた穴から無数の黒い蛇があふれんばかりに出てくる。

それらがシフォンに向かってうねうねと動き回って、そしてシフォンにかぶりつく。

シフォンは、それらに対し、大鎌を振るって、それらを薙ぎ払う。

蛇たちは、それを避け、かみつこうとする。

シフォンは、サッと身をひいていき、かわしていく。

俺は、それに追撃を試みる。


「残念だったな…これで全力だったのか?」


「なっ!?」


俺の次元蛇穴の蛇たちが、吹き飛んでいく。

威圧だけで、突風を吹かせ、そしてその風が俺の所まで来る頃に…シフォンの背後から忍び寄る威圧の正体が現れた。


「し、シフォン・・・あなた・・・」


「…全力で行く、俺も…あんまり永い時間をかけるわけにはいかない」


「な、なんだ・・・?急に雰囲気が…」


俺が知ってる中で、多分…一番強い。

この威圧…殺気…。

んで、あの背後に見える紫のオーラ…。


「お、お前!スタOド使いか!」


「違うわ!」


「じゃ、なんだよその後ろの奴!」


「…契約は成立した、俺も全力で行くって言っただろ」


「ま、まさか…」


「俺も一応”ジェル・ミーツェリの魔術師”だからな…教えておいてやる、お前らの仲間、本屋 ノブ子は、メドュエンサ・デ・メリュジーヌだ」


何やらよくわからない名前が出てきた。

メドュエンサ・デ・メリュジーヌ…?


「メリュジーヌ…?確か、ノエルが言ってた覚えが…」


「…スカイウェーブ号以来、行方をくらましたメリュジーヌは、エドワード=フォートに純愛し、そして…お前の元へ行った…年を幼くし、見た目を縮ませ、そしてお前のしっている、本屋 ノブ子として、現れた」


「そんなこと・・・」


「メリュジーヌが、見せただろ…イザナミ、イザナギを生み出せるのは、おそらくあいつぐらいだ」


「まさか…本当に…」


「お前は、敵を…宿敵を…討つべくしてならないものを、そばにおいていた、エドワード=フォートは、それに気が付いて、お前に呪文(スペル)を残して、冥界シーオルへ行った」


「そんな…」


ノエルは落ち込んでいた。

俺は、それを見て、シフォンを睨み、それ以上を言わせないように、俺は攻撃を始めた。

さっき、魔力を吸った”グラム”から流れて、魔弾銃にそれを込める。


「…バルデッシュの本当の姿…これから見せてやるよ」


「なに・・・?」


「さあ、かかってこいよ、最後の決戦と行こうじゃないか」


「…『シュート』」


ブゥゥゥンという音が鳴り始め、魔弾銃に光が集まり始める。

そして、放出を始めた。

シフォンのバルディッシュが、変形を始める。

そして、その刃先が、三日月模様となる。


「これが、本当のバルディッシュの姿…”エディアルカ”だ」


「…なっ…ダサくなった…」


「このフォルムがいいんだろうが!…ったく」


シフォンが、体勢を低くして、刃先を伸ばし、完全に槍を持つ構えとなる。

そして、次の瞬間、シフォンは突撃をしてきた。


「”牙突がとつ”!!!」


「んなっぐっはっ!」


俺は、それを避ける暇などなく、単純な突きを受けてしまう。

しかし、三日月の槍が腹部に刺さると、それを引き抜くわけではなく、そのまま壁の方へと突撃していく。

階段前の壁が崩れ、瓦礫がそこらじゅうにまき散らされる。

それをノエルは見かねたのか、呪文を唱える仕草をするが、うまくいかないのか、なかなかそれを放とうとはしない。


「ぐぅ・・・はっ・・・」


視界がぐらつく。

この槍から、何かが…。


「なっ…」


「やっと気が付いたみてぇだなぁ~・・・そ、こいつはお前の”グラム”と同じ、魔力を奪う能力があって、それが相手に触れるとそのまま引き抜いてしまうんだよ…ただ、お前とは違って、この”エディアルカ”は、直接相手に触れないといけない…だから、”牙突”が生まれたんだよ」


そうか…こいつ…ただ猛進してるだけじゃなく、その上、魔力でシールド作っていやがった。

…かなりの手練れってわけだ。


「だが…俺も、ここで終われ…ないんでな…ここからは…ぐっ…」


「なっ…魔力はもうそこをついてるはずだぞ!?なぜ動ける…!?」


「ノエル!いまだ!」


「…ええ」


ノエルが、こちらに人差し指と中指を向け、そして…”イールグ”と言葉ではない言葉として認識されない呪文を唱えた。

すると、その指先から風が生まれ、ハッと言って放つ。


「くっ・・・」


背中に受ける突風を、堪えつつ、俺に全神経を向けるシフォンに俺は、少し恐怖を覚えつつ、”グラム”を持った腕を振るって、シフォンへ攻撃を直撃させる。

それを受けたシフォンの体がグラっと傾くと、俺は一気に槍を押して、体から引き抜く。

すると、そこから一気に血があふれ出る。

その傷口を”グラム”を持った手とは別の手で抑え、ゆっくりゆっくりとシフォンへ近づく。


「お…俺の…勝ちだ…シフォン…」


「…そうか…お前も…魔力を吸い取って…」


シフォンは、自身にいつの間にかかみついていた蛇に気が付いた。

足元であったために、そこが死角となっていたのだ。


「…あんたは強かった…だが…俺には、仲間がいる」


「…けっ、もとは俺の同僚だっての…ったく…俺が悪者かよ…なあ、ノエル…最後に…一つ頼みがあるんだ…」


シフォンは、ノエルの方へ向き、そして


「おめでとう」


といった。

そして、シフォンは静かに目を閉じる。

ノエルは、おろおろとしてから、シフォンへ駆け寄って、そして彼の力のこもっていない手を小さな両手で握って、


「ありがとう」


と涙を流しながら言った。

今回はギャグも入れつつ、ちょびっと伏線回収もしてみました。

どうだったでしょうか?


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