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見習い魔術師の100の呪文  作者: ユキカゴ
第一章 フォーミル
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第十九話 レスク

「これで、終わりね」


「…うっ…」


「最初から勝てるなんて思ってなかったでしょう?」


私に勝てると思っていたのかしら…。

イザナミ、イザナギは、私の中で最強レベルの召喚で、私としては楽々出せるけれど、血の契約は案外きつい。私のラ・ビネスチェは、召喚・効果付加・火力増加アテミトゥリト

ラ・ビネスチェは、私しか扱えない。

なぜならば、『魔女メリュジーヌ』であるというだけだ。


「『魔女』…あなた、ノエルと一緒にいたわよね…どうして…」


「今の私は、本屋 ノブ子として生きているからね、それぐらい気が付きなさいよ、魔導師教会幹部のムユゼートル=バールペル=チャル?」


「偽名を使って、彼らを騙していたの…?どうしてそんな…」


「あら、私がそれをあなたにいって、何か利益があるのかしら?それとも、ここで私を拘束してみる?あはは、できっこないわ~今この瞬間にあなたは完全に圧倒的に完敗している!これこそ、イッツパーフェクトクリア!私が理想とする勝利!」


私は、勝ち誇ったように、自分の優勢感を感じる。

ムユは、まだ私に立ち向かおうとするので、私はそのムユの頭を掴み、そして…吸った。


「あっあぁあああああああああやめろおおおおおおおおおおおおおおおおおお!うわああああああああああああああああああああああああああああああああ!」


「あっあはは!全部、ぜ~んぶすっちゃお~!」


私は、ムユの魔力を吸い尽くそうとする。

もう、6割は持って行った。

あと3割持っていき、そして1割だけ残して抵抗を楽しむ。

楽しんだ後で、私はムユを殺せばいい。


「…フフフ」


「やめろ、本屋さん!もう充分だろ!」


「え?」


ちっ、邪魔が入ったか…。

へぇ、ロシルくん、イユに勝ったのねぇ~…それにしても時間掛かり過ぎね、まだ”グラム”をうまく使えてないのかしら。

エドワードさんなら、数秒で相手を蹴散らせるけど。


「…どうして、どうしてこんな事するんだ!」


「!?」


私は、驚いた。

あまりのも…重なりすぎていて…。

一歩、また一歩と私は下がり、そして頭を抱えて、そこを去った。


「ま、待ってくれ!」


ロシルくんが、何かを言っているが、聞こえなかった。

一方その頃、ノエルは、サユとの対峙がいよいよ完結したかと思えた。


「けれど…物事の逆転を使えば、こういうことだってできるのよ!」


”目を合わせた相手の行動を逆転させる目”は、物質にも通用するということなのだろうか、私の”デレクワ”をも逆転させ、抜け出す・・・あの力は、一体どういう仕組みなのだろう。


「あなた…どうやって・・・」


「物事を逆転するということは、因果律を捻じ曲げることすらできるということよ」


因果律・・・因は原因、果は結果ということ。

「机から卵が落ちる」というもので表すと、原因は「落ちる」結果は「割れた」となる。

よって、それらを捻じ曲げると「卵が割れたから、机から落ちた」となる。

これは、現実ありえない…。

それをそうしたというありえないものに変換できる目なのだ。

・・・なんでもありね。


「さて…そろそろ、私の本気見せてあげようかな」


サッと消えたサユは目で追う事ができなくなるほどの速さでこちらへ向かってくる。

それがわかっている・・・なら


「”レスク”」


言葉にならない言葉を唱え、呪文として発動する。

”レスク”は上級呪文・・・十呪文テンズスペルの一つ。

10から2までの呪文は上級化され、その7の呪文に属する”レスク”は、

全方位型追撃結界-エターナルジークブリザード-と呼ばれ、その発動時に、自分の周囲に魔法陣に白い霧が生まれ、そしてそれが竜巻のように術者の周囲を包み、そして広範囲360度を氷の世界と化す。

それが、今・・・ここに発動させた。

これは、普段の5倍ぐらいの魔力を使ってしまうので、魔力をほとんど使い果たしてしまう…。


「・・・まだ隠し玉がいっぱいありそうね…楽しめそうだわ!」


ササッという音が響く。

石を蹴って、そしてそこから生まれる風を吸い込み、そして・・・私の周囲を白い霧がまとい・・・そして、氷の龍が生まれる。


「大気中の二酸化炭素を一気に集め、それらをドライアイスになるまで温度を下げて、固体化させた氷よ・・・触れれば、一気に相手を氷漬けにできる」


サユは、一気にノエルに近づく。

それを悟ったか、氷の龍は、ノエルの白い霧を回転しながら周囲に振り撒く。

すると、地面が段々と氷漬けになっていき、一面が雪景色となる。


「くっ・・・これじゃ、近づけないわ…」


サユは、立ち止まり、そして身を引く。

サッと後退したサユの腕は、冷え切って、手が凍っていた。

凍った腕を地面へ向け、サユはこちらを睨んできた。


「全方位・・・追撃型・・・その由縁・・・見せてあげるわ…」


私は、手を身を引いたサユに向ける。

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