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見習い魔術師の100の呪文  作者: ユキカゴ
第一章 フォーミル
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第十七話 3on3 後編

「あなたは…まさか…」


「フフッ、弱いわね…」


ノブ子は、ムユを圧倒していた。


「あなたの能力…確か物質を…何たらよねぇ?使わないの?"空間を捻じ曲げて、そこに新たな物質を生み出すことができる目"ってやつをみたいんだけどなぁ?」


「くっ…」


ムユは、苦悩している。

目を使えば、確かにこの女の動きを止めることが…できるかもしれない。

けれど…私の体で、あれを使えば…確実に、私は朽ち果ててしまう。

あの目は、4つ子の中でも特殊な目…。

それは、本当の人体に損傷を受けるようなものなのだ。

そう、ムユは心の中で思うが、ノブ子は、そんなことをお構いなしに、余裕の笑みを浮かべる。


「う・・・ぐっあああああああああああぁああああ!」


「ふふっ、そうこなくっちゃね」


ムユは、挑発に乗ってしまい、目を開眼すると、同時に体を蝕む激しい痛みを受けた。

そして、目の輝きを失い、顔も青白くなってゆく。


「あらあら、顔色悪いわよぉ?」


「くっ…輸送開始ドライヴオン!」


ムユは、地面にその目を向ける。

すると、そこに…巨大な黒い鉄柱が生まれる。


「はぁ…はぁ…」


「へぇ、天邇岐志国邇岐志天津日高日子番能邇邇芸命(あめにぎしくににぎしあまつひこひこほのににぎ)…つまり『ニニギ』を生み出すなんて、やるわねぇ~」


ニニギ…つまりは、天照大神あまてらすおおかみの孫にあたる、神だ。

それを、こうも簡単に生み出すなんてね。


「でも、私はもっとすごいわよ~」


と、言って、ノブ子は、自分のマントに隠れていた短刀で自分の手を刺す。

そして、それを地面に刺し、自分の血を舐めて手を振る。

…すると、短刀の周りに魔法陣が完成する。

それらは、二つに分かれ、そして短刀の方と血のついた土とで完全に分かれると、そこから二つの棺桶が土から這い出た。


「…!?」


それを見たムユは顔をさらに青白くした。


「そ、そんな…」


その棺桶は、ゆっくりと開いていく。

短刀の刺さっていた所から出てきた棺桶からは、女が。

そして血のついた土から出てきた棺桶からは、男が。

それぞれ出てくる。

その姿、そして持つもの。

それらは…まぎれもない。

自分でも生み出す事が出来ないもの…。


「イザナミちゃん、イザナギっち、久しぶり~」


「フン、なぁんだ…まただっさーい所に呼んできちゃってさぁ~」


「そういうな、イザナミ…私は好きだぞ、こう…静まった空間というものか。らしきものは」


赤鬼の表装を着た赤い浴衣姿の女は、イザナミ。

青鬼の表装を着た青い浴衣姿の男は、イザナギ。

それぞれもまた神である。


「あんまりこういうの得意じゃないのよねぇ~…」


「って言って、ちゃっかり呼んでるしー失敗しちゃったら、液体状になっちゃうんでしょーチョー信じられないしー!」


「まぁまぁ…イザナミ、私はこう…良き空気が吸えて嬉しいぞ。黄泉は、確かに良き空気であるが、現世とはまた違った一面がある」


「ナギ兄ぃは呑気なんだよー」


「すまないな。イザナミ…と、私はあまりその…兄ぃというのは…苦手だ」


「なぁにぃ~ナギ兄ぃ照れてんのー?チョー可愛いんですけどー?」


賑やかになっているイザナミ、そして少し赤面になっているイザナギ。

ノブ子は、それを見てヤレヤレと言った雰囲気。

ムユは、体を震わせていた。

大陸をつくあげたと言われる神をいとも簡単に生み出しているノブ子は、やはり…あの『魔女』なのだと。


----同時刻----



「くっ!そっ!」


その間、ロシルはまだ、戦いの最中だった。

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