第十六話 3on3 中編
バキンッ!
大きな衝撃波が、そこに生まれた。
「やるねっ!やぁ!」
赤いワンピースが綺麗に舞い、そして宙返りして体勢を戻す。
そして、目をぐいっと開けてニヤリと微笑む。
イユは、俺にそのまま突っ込んで、蹴りこんできた。
「くっ!」
空中からの追撃で、体勢が崩れて、思わず地面に手をつく。
コイツ…強い。
「フフッ、君弱いねっ!」
バシッとこちらに左人差し指で刺してくる。
人を指さしするなと親に言われなかったのか!
「くっ!」
小柄な体から恐ろしいほどのパワーで襲い掛かってくる相手に、悪戦苦闘している俺に、余裕の表情でこちらを見下してくる…。
なんか、ムカつく。
「ぼくの目、"音速を超える速さで動く事が出来る目"は、空中加速すら簡単にできる」
面倒な能力だな…。
トライアングルアイズっていう人種がいるのは、前にノエルに聞いた。
何でも、三角形の模様を模ったものが目にあり、それが持ち主の身体に驚異的な力を身に着けさせるんだとか。
例えば、それはこいつのような音速を超えるものだったりとか、目で見たものを焼き尽くすものだったりとからしい。
…てか、焼き尽くすって…。
「俺だって…何もできないわけじゃ…ない!」
俺は、突撃した。
一方その頃ノエルはというと、サユとの対峙が続いていた。
「ウチ、あんたのファッションセンスどーかと思うんだよねー」
「あら、不思議ね、私もあなたはとてつもなくダサいと思っていたわ」
いがみ合い、そして段々と互いが互いの怒りをあげていった。
黒のリストバンドがやたらと目立つその姿は、凶変して、反対になった。
「けれども…"目を合わせた相手の行動を逆転させる目"で逆転しちゃえば、ほら…綺麗に見えるわよ!」
ノエルは、前へ進もうとする。
カウンターを仕掛けるには、もってこいの正面突撃。
しかし、ノエルは体を後ろに倒した。
「えっ、きゃっ!」
「フフッ喰らえっ!」
パワーすら並はずれた彼女たちの次女、サユの攻撃がノエルの腹部に襲い掛かった。
腹部に思いっきり、右ストレートが直撃する。
「ぐふっ・・・何…これ」
「言ったでしょう?物事を逆転させることすらできるのよ、ウチは」
「面白い…能…力ね」
ボワンッという音と共に、ノエルの体が破裂する。
そこから、紫の手が無数にサユに襲い掛かり、そしてあっという間に囲んでしまう。
「"デレクワ"…攻撃を受けたときに、自分の分身を作って、攻撃した対象をとらえる呪文よ」
「やるわね…」
「伊達に、魔術師やってないわ」
ノエルは、サユをとらえて、余裕の笑みを浮かべた