第十五話 3on3 前篇
俺たちが、街へ来た時にはもう街は静まり返っていた。
「・・・なんだ、ここ・・・誰もいないぞ」
「街というよりも、廃墟に近いな」
そこには、誰一人も…住んでいた形跡こそあるが、いなかった。
・・・ただ、俺は剣を構える。
殺気を感じ、それをどこか探るようにして意識を集中する。
敵の数、場所、そして・・・今どうしようとしているのか。
それを探るのだ。
「・・・ノエル、わかるか?」
「ん~・・・そうね、とりあえずは…これで追跡するわ」
”ウタルヴ”という追尾用の火の玉を飛ばしていた。
それは、後ろの方へ飛んでいくと、打撃音を立ててこちらへ戻って来た。
入ってきた門の楼上に入ったそれを、俺たちは振り向いてみる。
・・・すると、そこには・・・三姉妹が、ムッと怒ってこちらを凝視していた。
「もぉー!なぁによ!せっーーーーかっく、ぼくたちがや・さ・し・くのしてやろうとしてたのにぃ!」
「・・・まったく、いきなり攻撃とは・・・」
「とりあえず、目標発見・・・排除を開始するわよ」
と、一人一人が言葉を発して、バッと消えた。
すると、後ろの方へ風が向き、そしてその方へ肩越しにそれを見て勘で首を横に曲げた。
一瞬で、そこには手が伸びてきて、それは鋭く・・・今にも貫いてしまいそうなドリルのような・・・そんな、おぞましいものにも見えた。
要するに、凶器に見えたわけだ。
「くっ!はやいっ!」
「やぁるねぇ~!」
ノエルは、”イールグ”で体を浮かしてその反動で攻撃をかわし、本屋さんは、しゃがんで避けつつ、相手の懐に入っていた。
「やるわねぇ」
「フフッ」
「流石に、かわすか」
「まぁねぇ」
この人たちは、戦闘におけている。
その経験から生まれる戦闘経験を生かしての動きが、これというわけだ。
「へっへーん!ぼくはイユ!イユード=アルテミス=チャル!」
「ウチは、サユよ、サユリンド=テトラス=チャル」
「私は、ムユゼトール=バールペル=チャル」
「三人そろって!ムサイ!」
俺たちは、それを唖然として見ていた。
…てか、呆れていたに近いかもしれない。
俺は、一番明るく元気なイユ。
ノエルは、少しギャル気の入ったサユ。
本屋さんは、冷静な性格のムユと対峙していた。
「3on3…ね、とりあえず分かれて戦うしかなさそうね」
「フフッ、やるわよ!」
「腕がなるわぁ~」
俺は、「グラム」の次元蛇穴を使いこなしてみようとする。
…コントロールが効くのか…?