第十三話 トライアングルアイズ
「…」
ボクは、ここで何をしているの…。
どうして、動かないの…。
‘目‘は使える。
バカな主人によって、ゴルゴーンマスクは、取られてるし…。
けれど、この主人につけられた首輪がなんなのか…。
「…フン、凡愚が…お前は、要らぬ。ここを去るか、ここで消されるか、どちらにしろ」
「そ、そんな!」
そこは、宮殿。
玉座に慢心して座り、そしてボロボロの布をかぶった男に、暴言を吐いて満足してる…。
…。
「し、しかし…民は苦しみ、税をこれ以上背負うのは…」
「…もうよい…シェイノ、消せ」
「ひぃぃいいいい!」
視界がぼやける。
直後、目から熱が生まれ、それが妙な音を立てて抜ける。
そして、気が付くと、あの男は燃え苦しんでいた。
ボクの炎は、全てを焼き尽くす…肉も骨も…岩さえも。
…存在さえも。
全てすべて…。
「宮殿に穴を開ける程度では飽き足らず、まさか…空間すらも飲み込む者だとはな…クフフ」
「…」
ボクは、目に輝きを失って…人形のようなものとなっていた。
風に靡く髪を撫でるこいつ…。
ボクは、こいつが嫌いだ。
「おっおま!ちょっと待てって!」
俺は、今…修業をしていた。
俺の作ることができる”グラム”という剣を使い、そしてノブ子の生み出す動物で、その剣技を覚えてゆく。
それを繰り返して慣れる修業をしている。
「ロシルくん!”グラム”は、力を込めるものではないわ!”グラム”を電撃を想像して、その鋭い一閃を創造することにあるの!それが真価となるわ!」
俺は、”グラム”を振るう。
動物と言っても、相手は虎やライオン、ヒョウやタカとか言った肉食系が多い。
どう対処すればよいのか、という事を学びつつ、”グラム”の使い方を段々と覚えていく必要があった。
そして、振るう”グラム”の真価という物を見つけなければ、使いこなせない。そう…わかった。
「くっ…そ!」
歯茎をむき出しにした肉食獣を相手に、噛みつかれないかどうかという心配よりも、それをはらえるかという事を考えていた。
恐怖…は少しはあったが、それ以上に強化というものに、力を注いだ。
「”グラム”の心を読みなさい…それが、あなたにできることよ」
「よ・・・む・・・?」
「ええ、私たちにとって、感覚でわかる事…それが、風の流れに準じるのと同じ事…それが、”読む”ということよ」
…風の流れを…よむ…。
”グラム”の流れ…。
風の流れ…。
雷撃のように…鋭い…一閃…。
「…たあああ!」
俺は、何かを感じてそれを切るように…。
なぞるようにして、”グラム”を振るった。
すると、ブオンッ!という大きな音が鳴り、風を吸い込んでいるかのように、”グラム”に重圧がかかる。
重く重く。
「な、なんだ…これ!?」
「そ、それが”グラム”の能力の一つ!”次元蛇穴”よ!」
次元を捻じ曲げ、そしてその捻じ曲げた空間からあぶれんばかりの黒い蛇が現れて、動物に襲い掛かる。
蛇は、動物を貫くと、グルグルと体を巻きつけて丸呑みを始めた。
「”次元蛇穴”は…相手の魔力・生命力を食い尽くす蛇を無数に次元から溢れ出させ、そしてそれらを魔力として持ち主に還元するの!」
「な…」
「とても便利だけど、持ち主を選ぶ…昔、エドワードさんが使っていて、それ以来誰も使えなかった…それが、その”グラム”よ!」
行ける…行ける…!これなら…あいつを倒し、呪文を取り戻せる…!!!