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見習い魔術師の100の呪文  作者: ユキカゴ
第一章 フォーミル
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番外編 The Xmas party

クリスマスも過ぎてしまいましたが、この番外編です。

「おーいノエルー」


「ん~?どしたの、そんな大きな荷物抱えて…」


「いやぁ…今日、クリスマスっていう何かと祝う日だからさ、ほい」


と言って、俺はノエルに杯を渡す。

それをノエルは受け取り、疑問に思いつつそれを唇につけて、口の中に注ごうとする。


「って、おい!パーティ用だよ!パーティ用!」


「…?パーティ?」


「あ、あぁ!そうだ…パーティだ…」


「ふぅ~ん・・・わかった、なら…これは(パチンッ)ここに置いておくわね」


そういって、指を鳴らして、テーブルを出して、そこに置く。


「あ、あぁ…それなら誰でも見るだろうからな」


そういって、俺はほかの物を買うために、街へ向かった。


私は、お酒を見る。

…とてもおいしそう…。

喉が渇いていたから、ちょうどいい…。

そ、それに…ちょっと飲むぐらいじゃ…誰も攻めないはず…よ。

私は、お酒を取ると、そのフタを開け…


「ふ~ん…こういうものもあるんだぁ…」


俺は、買い物をしている時に見つけたジュエリーショップに立ち寄った。

ノエルへのプレゼントだ。

いつもお世話になっている師匠でもあるから、これくらいはしてあげていいと思ったのだ。

…まあ、あいつの場合いらないと言いそうだけど。


「あいつ、何が好きなのかな…ん、こんなのがいいのか?」


クマのキーホルダーを手にする。

俺は、それを見て、プクッと笑う。


「あはは、似合わねーwww」


「そぉ?私は似合うと思うわよ」


「いやいや、似合わないってぇ~」


「フフッ、そうかしらねぇ…ノエルは喜ぶんじゃない?」


「そうかな・・・ってうぉっ!本屋さん!いつの間に!」


そこには、グルグル眼鏡を付け、ベレー帽を身に着け、そしてワンピースを着ている少し小柄の女の子。



「へへ、そうねぇ…あなたがジュエリーショップなんて寄ってるから、珍しいと思って…」


「いやいや…」


「それよりも、ロシルくんがくれたものなら、あの子は何でも喜んでくれるはずよ」


「…そうかな…」


俺は、少し考えたが、いいかなと思って、クマのキーホルダーをあげることにした。

帰り道。

俺たちはふと手のひらに落ちた雪を見る。


「…雪か…」


「…ええ、ちょうどこれくらいの時かしらね…」


「何が?」


「…そうね、そういえば聞いていなかったわね」


「だから、何が?」


「ノエルはね、エドワードさんがクリスマスの日に拾った娘なの」


「拾った…?」


「そう、親もなく、かと言って兄弟もない…少女ノエルはただ、荒れた教会にいたそうよ…親に捨てられた子は、皆凍死してしまって…エドワードさんは、その中でノエルだけしか救えなかった…」


「…ほかの子たちもいたって…クリスマスに捨てる親は…」


「フフ、勝手よね…クリスマスの日は、特に…捨て子が多いのよ…」


「…」


「ノエルは、生まれたばかりの赤子…出産後、母親は死んでいたそうね…教会に、母親はノエルを抱えた状態で包んで寒さを少しでも抑えたかったのでしょう…それほど、ノエルを守りたかった」


「…」


俺は、ただいきなり語り始められたノエルの過去を、ただ黙って聞いていた。


「ノエルっていう名前は、『誕生日バースディ』が、今日…クリスマスだったからよ…」


「…断片的にしかわからないが、エドワードっていう人が、…いやそのノエルの師匠が、通りかかった時、ノエルを見つけたから…助けたって事か?それこそ勝手じゃないか…父親だって」


「それは違うわ」


本屋さんは、俺の推理というか、考えを途中で割って入る。


「父親は、ノエルをエドワードさんに託し、去ったのよ」


「!?」


「そうね…ノエルの父親は…ノエルを生んだ母親の所で、ただ通りかかっただけのエドワードさんに、『この娘を、頼む』とだけ言って、その場を去ったそうよ」


「…なんだよ…それ…」


「つまりは、彼女は捨てられた…これでハッキリしたかしら?…それよりも、さっきより雪が多くなってきたわ、冷えてきたし…早く家に戻りましょう」


「…ああ…」


俺は、ノエルの父の気持ちをただ、考えていた。

どうして…どうして、捨てたんだろう。

どうして、他人に、しかも誰かわからない人に、自分の娘を託すことができたのだろう…と。


「…」


「!?これはどういうこと!?」


「…?どうしたんだ?本屋さ…はぁ!?」


俺たちが見たのは…ボロボロになった家。

そして、割れた酒。

さらに…空中に笑みを浮かべる少女の姿。


「な…何やってんだよ!ノエル!」


「あっははははは!さいっこぉおおおおおおおおおおお!」


ノエルは、狂ったように呪文を使っていく。


「ねぇ…ロシルくん、もしかして…ノエルにアルコール類のもの飲ませた…?」


「い、いや…?」


…でも…あ。


「何か、あるのね…はぁ…」


「…もしかして…」


「ええ、ノエルは…酒乱なの…」


「まじかよ…」


でも、あれは…酔ったってレベルじゃ…。


「まったく…ノエルの奴…飲むなって言ったのに…」


「ノエルに酒を見せたら、まずいと教えておけばよかったわね…」


ノエルは、引き続き暴れている。

てか、なんで見境なしなんだよ!


「酔いってレベルじゃねぇぞ…これ…」


「ええ、酔拳の次に怖いかもね…って!そんな事言ってないで止めるわよ!」


「あ、ああ…」


俺は、‘グラム‘を作り出して、ノエルまで飛ぶ。

本屋さんが、魔法‘シェロンプ‘で、ジャンプ力が3倍にしてくれたのだ。


「うぉおおおおおおおおおおおお!」


「?あっははははははあははは!!!」


ノエルは、呪文‘イールグ‘を乱射してくる。


「ぐっあっ・・・!!!!」


「ロシルくん!?」


ただの‘イールグ‘じゃなく…酒で威力が上がってる…。

このままじゃ…


「ぐっ…」


「っはははははははははあああああ!!!!!」


‘イールグ‘と‘ティッチェ‘を使いまくってくる。

光と風。

融合したそれらは、どうやら一筋縄ではいかないようだ。


「…ノエル!やめろ!」


「フフ、あっはははは!ロシルゥ!あっそぼぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!」


ノエルは、天に手のひらを向け、そして、その直後巨大な風の塊を生み出した。


「いやいやいやいや!待て待て待て待て!」


「いっくよぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!」


「うっわああああああああああああああああああああああああああああああああ!」


「私は混沌カオスを統べる者、私に従い、闇を生み出せ…」


巨大な風の塊が、まだ迫ってくる。

しかし、そこに黒い穴が開いてゆく。


「本屋さん!?」


「ブラックホールよ!それにあの巨大な風を飲み込ませるわ!ロシルくん!あなたはその‘グラム‘で、ノエルを刺しなさい!そうすれば、止まる!」


ノエルを…刺す…。

やるか。


「うぉおおおおおおおおおおおおおお!」


そして、俺は…。

数週間後、ノエルの様態が良くなった。

ノエルに刺した‘グラム‘の傷はもうなく、酔いを醒ませるとはいえ、傷を負わせたことを謝罪した。

…ノエル、過去に何があったかは知らないけれど…俺は、お前を守る。

そう…決めたからな…。覚悟しろよ。


Fin~


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