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見習い魔術師の100の呪文  作者: ユキカゴ
第六章 魔術師の反撃
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第百三十一話 暗殺者ルアトクアト

「どうやらここが、ドルグレ城のようだね」


シェイノが至ったそこは、「仁義」と描かれた門。

その先には、それを囲む山々のどれよりも高く聳え立った天守閣がある城。

本丸ドルグレ城。


「他は…誰もいない、どうやら一番乗りかな」


その警備の量は然程多くなく、シェイノの力を持ってすればあっという間に

突破できるだろうと思える程だった。


「…やってしまうか」


シェイノは歩む。

六呈の騎士相当がまだいるとは限らない。

否、それ以上がいるとも限らない。

そんな状況で単身挑むのは無謀とすら思えたが、

シェイノ自身にその無謀という単語が自分には当てはまらないと慢心していた。

いや、確信に近いものだったのかもしれない。

いずれにせよ、彼女にとっては下等な存在であったことには違いなかった。


シェイノという娘は、新人類として開発された。

人工的に作られた改造人間だ。

それは彼女自身も理解している。

理解し、そして判断できる。

理解し、判断し、そして行動する事ができる。

彼女にとって、それがこの確信に繋がったのだ。


「右目の鈴犬!」


右目の鈴犬は左目と違って、見たものを燃やすわけではない。

目に見えないものを燃やす。

ようは探知機の役割を果たす。

その目はたとえ壁越しであっても、見透かしその先にいる生物全ての魂を炎として見えるようにする。


「奥に20人…なら…皇女プリンセス鼠糸フレアを使おうかな」


皇女の鼠糸。

それは目の力ではなく、彼女自身の能力だ。

人造人間…彼女だけは、さらにチャルの純血が混ざっている。

つまり、吸血目も扱えるのだ。

自身の指を歯で切り、血を体内から放出させる。


「混血者だけが、自身の血で吸血目を使える…」


能力の効果は、一定範囲に鼠の幻影をばら撒き、感知した生物に取り付く。

取り付かれた対象は、別の生物の感知ができなくなる。

要するに自分だけしか認識できなくなるのだ。


「ボクの力、存分に味わってもらうよ」


左目の鐘猫。

その炎は、目で見た対象を焼き尽くす能力を持つ。

たとえ無機物であれ、その対象となる。


「・・・ふぁ・・・暇だなぁ・・・今、街じゃあ祭りで騒いでるってのに・・・俺は城の警備か」


一人の衛兵がいた。

その衛兵の漏らした声にシェイノは反応し、左目の鐘猫を使って焼き尽くす。

まず、喉を燃やし、声を殺す。

次に逃がさそうに足を燃やす。

動けなくなった所で

全身を燃やす。


「次」


灰となった衛兵を蹴って撒き散らす。

暗殺向きだけど、屋内で使えないな…と考えてたシェイノだった。


が、直後背後に強烈な殺意を感じて急いで振り返る。

そこには赤い装束に黄色のバンダナをつけた男がいた。

その男はシェイノが後ろに飛ぶのよりも早くシェイノの首を手で掴み壁にたたきつけた。


グラッ...脳が振動し、乗り物酔いでもしたかのように気分が悪くなった。

同時に視界がぼやけて、目の前の男が何人にも見えた。

光景もハッキリと見えない。

シェイノはその一撃から左目の鐘猫を使うための能力が失われ、使えない事が理解できた。

脳に衝撃が走りすぎたのだ。

同時に、右目の鈴犬の効果も切れる。


「貴様、ここで何をしている?ここには衛兵が一人いたはずだが?」


「・・・っ・・・」


シェイノはその男を睨む。

彼女の最大の抵抗だった。


「もう一度聞く、貴様はここで何をしている?」


その男の名、恐るべき暗殺者・ルアトクアト。

各国に一人はいる逸材の中でも、彼以上はいないだろうとすらいわれている。

その暗殺の素早さ、的確さ、窮地に陥った時、どう対処するかまで、完璧にこなす。


シェイノは暗殺向けの能力を持っているが、肉体的にはそんなに強くない。

強力な能力さえ遮ってしまえば、彼女に勝つ手段はなくなったと言っても過言ではないのだ。

そして、それが今起きてしまった。

彼女の体から段々と力が抜けていく。

声が出ず、能力も使えない。

単独行動に走った結果がこれだ。

と自分を責める。


「何も答えず・・・か、では逝け」


「そうはさせねぇっての!」


そう誰かが言った。

それは、どこかの島に漂流していた男、プライヴァスだった。

プライヴァスの能力不可視の魔法で、見えなくなっていたプライヴァスが攻撃を仕掛けていたのだ。

ルアトクアトの胸には、大砲の弾の大きさの穴が開いていた。


「隠れ身の術」


ふぁ...とルアトクアトの姿がその場から消え、掴まれていたシェイノに呼吸が戻った。


「かっ・・・はぁ・・・た、助かった・・・よ」


プライヴァスは辺りを見渡すが、ルアトクアトの姿は見当たらない。

警戒は解かずに、シェイノの具合を確認する。


「ここにどうして一人で行こうとしたんだぁ?わかってたろ、自分一人じゃ、どうにもならないってよ

それとも、その判断すらできねぇ奴だったのかぁ?」


「そうだね、後者だよ、ボクは一人で解決できると思った」


その言葉を聞いて、プライヴァスは軽く頬を抓った。


「いっイタッ」


「目は覚めたか?これで覚めたんなら、もうそれ以上勝手なマネはすんなよなぁ…

らしくあれよ、冷静なお前らしくもねぇ」


「・・・確かに、そうだね・・・プライヴァスに説教されるなんて・・・ボクらしくなかったよ、

ありがとう」


「なぁに、わかりゃあいいんだよ」


ルアトクアト。

その男の強さは本物だ。

奇襲攻撃でどうにか窮地を脱した程度。

今後、向かい合って戦うとなると倒せるかどうか…。

まだ敵の根城の庭に入ったに過ぎない。

二人は、歩き始めた。


一国で最強といわれる人たち。


フォーミル

エドワード・フォート(死んだ)

伝説の魔術師であり、四カ国をまとめ上げたとされる男。

ノエルの師匠であり、最強とまで言われていたが、死亡した。


ミシェール

ジャスティス・デストラクション

吸血目の能力を使い、自分が思う「正義」を破壊する能力を持つ。

それは無機物や有機物に問わず、すべてにその効果は有効となる。


ガレー

ゼス

死体から作られる機甲隊だが、彼は核となる部分を与えられた唯一の存在。

不死身かつ敵の攻撃をすり抜ける能力を持つ。


ドルグレ

ルアトクアト

暗殺者。ので、ぜんぜん情報がない。

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