第百二十七話 クリスVSロクロブロンス
その日、その島では研究が最終段階へと移行した。
紅い眼と呼ばれるその研究は、罪人を使った人体実験だった。
「ルーム19を探せ932があいつの資料だ」
「ああ、あった!これだな!?」
研究資料を探していた、白衣の男たちは皆その資料を見て目を光らせていた。
それもそのはず。
彼ら研究員は紅い眼の研究をして数十年。
全く成果を挙げられずにいたからだ。
それを数十年前に終えた研究資料がその島にはあったのだ。
喉から手が出る程の代物を、彼らは手にした。
…中には、幼い女の子と原初の虹彩異色の眼であるという証明が書かれていた。
名を
「ヴィアーチェ・クリス…この娘がそうか」
「ヴィアーチェ・クリスだと?そいつぁミシェールの国王じゃねぇか__」
ヴィアーチェ・クリス。
現在のミシェールを指揮する国王であり、
4カ国中、最強と言われる程の実力を持つ。
「…なるほどな、『複製目』は彼女が計画立てたわけじゃないんだ、
これは国がヴィアーチェだった時に、国王自らがその計画を出したんだ…
だとしたら…だとしたら、これは」
ヴィアーチェ
それが始まりへと続く架け橋である事に気がつくのはまだ先の話。
(--- ミシェール ---)
「…そう、あなたが…ロクロブロンス…」
「いかにも、僕がロクロブロンスだ」
ロクロブロンスの顔は、ロシル・コトハ・エドワード・マオのどれでもない。
ヤギ。たとえるならヤギの顔であった。
黒い紳士服に、長い鎌を手にしてミシェールの王、クリスと対峙していた。
「あなたの目的は一体なんなの?」
「支配と破壊だ」
鎌を構えて、振るう。
それをまともに喰らい、首が取れてしまったクリス。
「…」
味気ない。
ロクロブロンスはきっとそう思ったのだろう。
その鎌から流れる血液がクリスの首に落ちる。
その瞬間
光があふれ始めた。
「あまり、オレサマをなめんじゃねぇよ!」
クリスは、その首から下を血の力で生み出した。
そして、また血によって鎌を生み出した。
「真似事かい?そんなものを僕向けたとしても、(メェェ)どうにもならないよ」
「『血辱の鎖』」
血が鎖となり、ロクロブロンスを囲む。
「ん?なんだこれは…っ」
次の瞬間、ロクロブロンスの四肢を鎖同士が繋ぎロクロブロンスの身動きを止める。
「血は、オレサマの力その物だ…」
身動きの取れないロクロブロンス。
その首にクリスの鎌が振るわれる。
バキィィィンッ!
首に差し掛かるその瞬間。
クリスの手から鎌は吹き飛ばされた。
「なにっ!?くそ、誰だ!?」
「・・・」
そこに現れたのは、もう一人のロクロブロンスだった。