第百二十六話 イータークォーツ
エドワードの瞳に光が消えた瞬間、エドワードの全身にひびが入っていく。
「イータークォーツ」
ひびの入った体が破裂し、中から白い破片が飛び散った。
エドワードを囲んでいた六人はその破片を受け負傷。
地面へと落ちていく。
「自らの体内に入れ込んだ破片、それらは自分の死と共に周囲約100mに渡って飛び散り、
そして侵食する」
六人の体は段々と白色化していく。
「個性など、俺の前ではないに等しい…儚く散れ」
白色化していく体から、いくつもの光が破裂したエドワードの体へと戻っていく。
そして、完全に元通りの姿になる。
六人は、地面まで体が落ちた後、バラバラに砕けた。
それはまるで彫刻の像が落ちて砕け散ったかのようだった。
そして、エドワードはもう一人の男、ロシルとなったコトハへと顔を向ける。
「邪魔者はいなくなった…さぁ、続きをはじめるとしよう」
エドワードはコトハの方を見る。
コトハはアロンダイトを構え、エドワードへ突撃する。
エドワードはその姿を見つつ自分の剣を手のひらから生成する。
「爆懺刀 極」
「また、新しい剣か!」
パッキィィンッ!
大きな金属のぶつかる音と、
たった二人の男の周囲に広がる海と溶岩。
その二つが重なり、周囲は山と化す。
「アロンダイト!押し流せ!」
アロンダイトは水を纏い爆懺刀を押していく。
剣と刀。
パワーは圧倒的に剣であるアロンダイトの方が上であり、
爆懺刀はその力に押されるしかない。
エドワードは、アロンダイトを受け流してコトハの懐に入り込み、
「これで、決着がつく!」
{タイム・ウォーカー}
刀がコトハの胸部へと刃で裂こうとしている刹那、
空間が歪み、その中から白い装束の男が現れた。
「よっと…お邪魔するぜ」
その姿は異質であった。
人間体でありながら、放つオーラは人間のそれとは違う。
もっと、バケモノじみたもの。
「ロシル…か」
「へぇ、それが”この世界”での”ロシル”の姿かぁ、思った以上にそっくりだね」
三人はコトハであり、ロシルであり、エドワードだ。
彼らは互いに別々の剣を持ち、
互いに嫌悪感を抱いている。
自分自身を目の前にして、不思議と剣を構えるのは、
なお自然と考えてしまった彼らは次に剣をぶつけ始めた。
その剣同士が、金属音を束ねた時
「な、なんだ!?」
「…」
「タイム・ウォーカーと同じ時空を歪ませる空間!?」
その空間はだんだんと広がり、三人を飲み込んでいく。
空間が元に戻った時三人の姿はそこにはなかった。