第百二十五話 六縛星の呈
「今の俺は、ロシルそのものだ」
「ロシルだと?そいつはなにもんだ?」
ロシル・フォート。
そいつは俺の名前であった。
否、今は真名エド・コトハという名だが…今はそれを捨てる!
「それで?何が変わっているんだ?試してみるか…ライテス」
エドワードの上空に黒い雷雲が渦巻いた。
そこから黄色の落雷がエドワードへ向けて落ちる。
だが、直撃はしない。
エドワードの体を中心に電撃が回転している。
「なんだ…そりゃあ!?」
「ライテス…呪文の中でも扱いが難しい奴でな…その代わり、結構強力なんだぜ」
「雷光赤火」
と、エドワードが言うと、体中の電撃が線を描きでたらめに動いていく。
「囲まれた!?」
一瞬の出来事だった。
エドワードから放たれた電撃が、コトハを囲み何本もの線がそこからコトハへと向かっていった。
「伝雷撃!」
”ローフィアス”!
言葉に発音できないその呪文を口から放つ。
ローフィアスは、攻撃を中和する呪文。
ライテスで作った輪はその姿を消し、コトハは青き剣を構える。
「アロンダイト!水を纏え!」
と、コトハが叫ぶと構えた剣に水が溢れて渦を作り出す。
コトハは、アロンダイトを上空へと掲げ、
「深きは海、ここにあり青は湖なり、
我水をくべる者、全てを飲み込む蒼となる!
アロンダイト!湖を解き放て!」
振り下ろす!
すると、アロンダイトから大量の水が大波となって、エドワードへ向かっていく。
「水…面白い…イールグ!」
地面に向かってイールグを放つエドワード。
大波が近づいてきて、イールグはそれをせき止めている。
さらに、イールグに巻き上げられた大波が風と混ざって天へと伸びていく。
水を巻き上げたイールグの中から、六つの鎧が現れた。
「雑魚共が、またしゃしゃり出てきたか」
「散開!」
風によって上空へと飛んでいる6人は、エドワードを囲む。
そして、皆自分の剣をエドワードへ向け
「「「「「「六縛星!」」」」」」
と叫ぶ。
すると、エドワードの周囲に六芒星の文様が生まれる。
「ほう...これは…」
六芒星によって動きを封じられたエドワードは、六人の剣を体を受ける。
「これで、伝説は消えた…魔術師を対策した我々に敵うはずがないのだ」
エドワードは、刺された剣を見る。
「・・・」
そのまま、エドワードの瞳から光が消えた。