第百二十一話 進撃
「さぁて、始まりました!ロー・ジンの大喝采祭り!皆一様に叫んでおります!」
「うぉおお!美しいぞおお!テルマぁ!」
「ええぞ!ええぞ!」
「クヲン様ぁああ!」
人々の轟音が、町中に流れる中、一人の少女がそこでさまよっていた。
と、そこに5人の男がその少女に声をかけた。
「よう、お譲ちゃん!どうしたんだい?迷子かい?」
「なんだったら、俺たちが案内してやるよ~」
「もしくは、俺たちとニャンニャンしようぜ~?」
彼らの目は、どう見たって道案内をするような目ではなかった。
少女は彼らに目をやり
「命が惜しかったら話しかけない方がいいよ、今ボクは機嫌悪いから」
深紅の目、蒼海の目。その二つの色のめもつ少女はそういった。
男たちは身震いし、その少女の肩に手をやろうとした途端、とてつもない熱気が背後を襲った。
「触れれば、こうする」
触れようとした男の背後で、悲鳴が聞こえ、振り返ると一人が全身に青い炎を灯され燃えていた。
「ひぃいい!なんて奴!逃げるぞお前ら!」
響き渡る轟音に彼らの声は溶けていった。
誰一人として聞くことはなく、誰一人として気がつくことがなかった。
「…コトハたちと合流しないと…」
また一人は少女を歩んでいく。
パレードの中を一人で。
(---リ・アルタ---)
そこは、ドルグレの中でも人気は目立たない場所。
だが、それゆえに国の最重要の場所。
「実験はうまくいっているか?」
そこへきたのは、国の代表者 オーヴァル=ドルグレ だった。
辛気臭い雰囲気がその場所を覆っていた。
「ええ・・・もう、最終段階まできました」
中心には剣が刺さっており、研究員がそれを囲んでいる状況。
オーヴァルは、歩みその剣の柄に手を伸ばす。
「オレは剣士だ、それ以上でもそれ以下でもない」
剣を取り、構える。
「魔導師・魔術師の対策のために作り上げた剣…この力を確かめるとしよう」
オーヴァルの耳に、攻撃を仕掛けてきたフォーミルの船が撃沈したとの知らせが届いた。
だが、生死がわからないと聞くとオーヴァルの口元が緩んだ。
「クク、いい…この剣の力を試せる絶好のチャンスだ」
オーヴァルは、青い襷を両腕に巻き、白い袴をしめる。
そしてゆっくりと前進する。
一方その頃…。
(---ガレー島---)
「ゼス、もう良い…我々の敗北だ」
戦いにおいて、その力に絶対的な強さを誇っていたゼスが圧倒的な力によって敗北した。
クェイはそれを理解した。
突如として攻撃を仕掛けてきたニホン軍。
圧倒的な強さで4つの島に攻撃を仕掛け、あっという間に殲滅していく。
ガレーはニホンの物となっていた。