第百二十話
(---フォーミル城---)
未だ二人の戦いは続く。
だが、それはほとんど一方的な攻撃だった。
「まるで歯が立たないな…」
ライエンを使い応戦するラグナ。
だが、そのすべての攻撃をマオは絶対領域を使って止める。
「絶対領域の前では、すべてが無力」
「いや、そうでもないさ」
と、止まった攻撃が動き始める。
同時に、ある人物が前に出てきた。
「王よ…弱くなったんじゃねぇか?」
懐かしい風。
ラグナはその風を知っている。
「まさか…エドワード…!?」
白い装束。
そして、暖かく鋭い風を纏う彼こそ、エドワード・フォートその人…!
「チッ、とんだ大物だ…だが、お前はここで仕留める」
「ははは、そりゃあお門違いだ…大物じゃあねぇ…」
マオが一気に距離をつめる。
黒い装束と白い装束。
それぞれが交差し、風と砲弾が交差する。
「下がってろ王…ここはあんたの出ていい幕じゃあない」
と、背にいるラグナに指示をする。
それを追おうとマオが駆け出すが、その先をつむじ風が通る。
「仕留めるのは…”俺”だろ?」
つむじ風を避け、後ろへ回避するマオ。
そのつむじ風は段々とエドワードへと纏い始める。
そして、風の衣を纏ったエドワードは、ニヤリと頬を緩める。
「呪文って知ってるか?」
マオの懐に瞬間的に移動したエドワードは、人差し指を立ててマオへと構える。
「風穴開けてやるよ、イールグ・ガンド」
「がっ・・・は・・・!」
と、打たれたマオはそのまま後ろへ倒れていく…が、そこで
「くっ…ここは一旦引かせてもらう」
空間が捻じ曲がり、マオはそこへ引きづられていった。
「逃げた…か、王よ戦況はどうなってる?」
と、マオを見送り、後ろを向いてエドワードはそう尋ねる。
ラグナは
「あ、ああ…わかった」
今の戦況を話した。
エドワードは、それを聞き、すぐに行動に移した。
「さぁて…そんじゃあまあ…行くか…」
(---ドルグレ---)
「くっ…頭が…」
頭が痛む...ここは…ドルグレか…?
体を起こし、先ほどの戦いを思い出して辺りを見回すが、人らしい人がいない。
うーむ…どうやらまた一人らしい...
「とりあえず…進むか」
ドルグレの本拠地へ向かおう。
…ロクロブロンス・・・どこに居やがる。
「ぜってぇぶっとばしてやっからな…!」
こぶしを握り締め、俺はそう誓った。