第百十九話 動き出す者たち
そこは浜辺だった。
…浜辺…
「…漂流した…のか…」
俺の名前は、プライヴァス。
…只今、絶賛漂流中の身だ。
何を隠そう、俺はフォーミルが誇る親衛隊の頂点、魔導師なんてのをやってるんだが…
「で、ここは…どこだ…?」
とある理由から、俺は他の魔導師たちとフォーミルの兵士と共に海へ出て、
とある島を目指していた。
そのとある島っていうのが、祭り島と呼ばれているドルグレの事で、
俺たちはその途中、船を奇襲され船は壊滅。
てか…大体あのガキのせいだけどな!本当、なんなんだあの小娘は!
「見たところ…孤島のようだが…」
近くに大きな島は見えない…これは、ドルグレから離れてしまったか…。
まあいい。
とりあえず…
「あんの小娘に会ったら…ガツンといってやる…」
「ん…なんだ…これ…」
俺の目の前に、黒き影が漂ってきていた。
それに手を伸ばすと、それは俺のなくなった腕に寄ってきた。
そして
「ぐっ…あっ…ぁああああ!」
そこから、俺の意識は消えた。
<---フォーミル--->
かつて、伝説の魔術師によって圧倒的なる戦力を誇った国フォーミル。
だが、今はその戦力もなく、魔術師の力を受け継いだノエル=フォートは行方不明となり、
戦力をほとんど残していない。
あるのは、魔導師という国が誇る精鋭隊のみ。
彼らも襲撃に合い、今はドルグレを目指し航海をしている・・・。
全くの戦力がなくなった国フォーミルに…今、絶対的なる力を持つ者たちが忍び寄っていた。
チリリンッ
と、鈴の音が鳴る。
これは、警備用の鈴で、進入者がいれば反応する。
つまり、これが鳴ったという事は
「来たか…」
侵入者がきたということだ。
ならば、対処せねばなるまい。
「…ライエン」
ラグナがそう唱えると、ラグナの背後に無数の穴が開き始める。
そこから国のすべての砲台が現れる。
それらがすべて目の前の扉に向けられる。
すると、扉がゆっくりと開いていき…
「標準準備」
そして、開いた扉の向こうには、白いフードの人物。
「一斉発射!」
それぞれの大砲から放たれる砲弾が、白いフードへと突き進む。
「絶対領域」
白いフードは、そう唱えた。
すると、一斉に向かってきた砲弾が動きを止める。
「チッ、よりにもよって、マオ・リーディス大元帥がおでましかよ!」
確信した。
この白いフードは…ニホン国の誇る大元帥、マオ・リーディスである事に。
ついでに理解した。
今、ここでフォーミルは滅びると。
<---秘密の大地--->
そこには、何も存在しない。
永遠と広がる白き世界。
そこに、一人の男がいた。
その名、未だ衰えを知らず。
最高最強とまで謳われたその名は
「さぁて、こっから俺の出番だな」
白き衣。
その衣服は、ロシルに引き継がれたソレと同じ。
そう、彼こそがエドワード・フォート。
最高・最強の魔術師。
彼は、指先で風を作ると、目の前にその風を放った。
その大きさ、指先から放たれた風は嵐を生み出し、白き世界を割った。
「では、いくとしよう…この最高をもって」
{世界に、平和を}