第百十八話 円卓会議
<--- シブヤ --->
ニホン国にある都市 シブヤ。
そのシブヤの中央区にあるタワー内で、円卓の会議が行われていた。
そこに集まったニホンのトップ5。
雷神・ヨキ・ライゼン
風神・クレハ・ホウセン
地神・ジン・チカ
水神・レイ・ミズハシ
火神・テルミ・カジバ
5人の実力者が集まったその場所は異様な空気に包まれていた。
「さて…それで?今回はどんな話だ?」
「どうやら、フォーミルが動いたらしい」
「へぇ…ようやく、おいらたちも動けるわけだね」
「そ、じゃあアタイも準備するかいね」
「それで?マオ大元帥?これから何をするんでぇい?」
マオ=リーディス大元帥。
地上最強とされ、統制の取れたニホン国を率いている。
「僕らは、ニホン国を改め…新帝大日本帝国を名乗るよ」
新帝…。
それは、全国へ我が王だと知らしめるために使われる言葉。
要するに、大日本帝国とは全てを統べると四カ国に告げる物と考えてよい。
「へぇ…面白そうな事、始めようとしてるじゃん」
と、マオが告げた直後、マオの背後に仮面を被った青年…。
コトハにそっくりなその人物の名は無く、ただその仮面から青銅器と呼ばれている。
「…誰だ、貴様…どっから湧いた」
「面倒になる前にやるか?」
「おいら、いつでもいけるよ」
「アタイだって、いける」
「お前は、敵か?」
5大神と呼ばれた者たちが、皆一様に青銅器を見る。
青銅器はその反応に心底侵害だと思ったのか、両手を肩まで挙げヤレヤレという反応を見せた。
「僕に勝てる自信があるのかなぁ?」
5人はその言葉を聞いて、すぐに構える。
と、直後
「そこまでにしてもらおう、仮面」
マオの持つ剣が青銅器の首元に向く。
黒い刃先を向けられた青銅器は、右手の指を鳴らして6人の真ん中にいつの間にか移動していた。
円卓を囲む彼らは、円卓の真ん中を見る。
「何も、襲いにここへ来たわけじゃあないんだ…僕の話を聞けよ、ニホン人」
6つの剣は、やがて下ろされ青銅器は口を開いて説明する。
フォーミルの現状、そして進撃を開始した中、起きた船上での戦い…。
一部始終を遠目から観察していた青銅器は、彼らの行動の意味を知り国外へと逃亡したのだ。
「僕が一番恐れているのは、”コトハ”という存在だ…その存在だけは、僕の力は使えない…
つまり、現状僕の脅威と成り得る者という事だ」
ただ、今はまだ脅威に及ばない。と加えた。
しかし、青銅器はまた気がついていた。
この世界に二人と存在しないはずの人物…”コトハ”という人物が、
”4人”この世界に存在している事を。
「それで?僕らは君に対し、敵意を向ける以外に何かをしろというのかな?」
「フフ、敵意を向ける…か…それは、それは…僕は取引に来たんだ…」
と、青銅器は右手をクレハへと向ける。
「”吸魂の儀”」
クレハは、向けられた右手に体を引き寄せられ、段々と吸い込まれていく。
あっという間に吸収され、青銅器はその右手を次はレイへと向ける。
「や…いやぁ!」
「何を!貴様ぁ!クレハをどうした!」
「吸収した…と言えばいいのかな?だが、まだクレハという存在は僕の中で生きている」
5人となった円卓の者たちが、皆 青銅器へと目線を外さず、攻撃を仕掛けようとしていた。
「次、その攻撃を行えば…ここにいる全員を吸収する…」
「な、何言ってる…」
一瞬の出来事に皆動揺が隠せずにいた。
それもそうだ。クレハは吸収されたとはいえ、かなりのてだれであった。
そのクレハをいとも容易く…しかも一瞬でと。
敵意以前に恐怖を抱いていた。
「マオ=リーディス…このニホン国の国民全てが僕の人質だ…僕に協力し、
フォーミル国の魔術師…いや、今は魔導師か…。
見習い魔導師 コトハ を、抹殺しろ
それが、できれば…人質を解放してやろう」
一方的に攻撃を受け、一方的に脅迫を受け…それでも、
国民を人質に捕られたマオは…決断した。
「…わかった…ただし、この戦いの最中…君は僕が監視をする…逃げられると思うな」
「怖い怖い…わかったよ…メェェ…」
不敵な笑みを浮かべ…青銅器は、ニホン国の国民全てを人質とし…。
圧倒的な戦力を手にした。
やがて始まる戦いの幕開けが今、なされた。