第百十四話 プライヴァス
ポリポリと頭を掻いているプライヴァス。
やる気のなさは、ぴか一である魔導師…。
ノイスクランチ家の長男であり、
不可視の魔導師と呼ばれた男だ。
そんな彼がここにいるのは…
「あぁ~…おう、なに見てんだぁ?それより、シフォンがあいつに何かされたようだが…?」
「シフォンは吸収されてしまった…」
その言葉に、プライヴァスは俺を睨み付けた。
「あいつは、なんだ?」
「…俺自身の闇で作られた人形だ」
と、俺の発言の直後にプライヴァスは俺の首を絞めてきた。
「で?それが俺の弟を吸収する事に繋がったわけだなぁ?っつう事は、
今てめぇを殺せばあいつは戻ってくるのかぁ?」
これは、本物の殺意だった。
俺は冷や汗をかき、加え呼吸の困難なこの状態に苦しむ。
「あっいつは…俺を殺す事で…俺のっ…魔力を手に入れる事ができる…!
だからっ!…俺を殺したとしても…あいつは殺せない!」
そういうと、プライヴァスは俺を突き飛ばした。
その顔は怒りに満ちていた。
「だったら、あいつを今すぐにでも殺す、それでシフォンは戻ってくるんだな?」
「…吸収された人間が、あいつ自身に取り込まれているようなものだから、
おそらくあいつの養分となっているはずなんだ、
だからあいつを殺す事はシフォンを殺す事にもなる…」
ロクロブロンスに取り込まれた人間は、血液のようなものとなる。
しばらくすればその養分は自分に完全に取り込まれ、
そうすれば助けられなくなる。
その前に救い出すためには…あいつを、俺自身が乗っ取る必要がある。
克服するのだ。
「方法は…ある」
地面に喉を絞められた所を気にしつつ倒れこみつつ、そういった。
プライヴァスとシェイノはこちらを見る。
その方法を話すと、
プライヴァスは道化を見るようにこちらを睨み、
シェイノは怪訝している様子でこちら見ている。
「納得はいかねぇ…だが、シフォンを助け出す手はてめぇしかねぇ…なら、
協力してやる、が…無理なら殺す」
シェイノはこちらに心配そうに見る。
「自信はある、だが…これからどうするか、だけがまだ決まらない」
「俺は今すぐにでも、ロクロブロンスとやらを殺しに行く、
てめぇが行かないっていうのはなしだよなぁあ?」
「僕も行くよ、でないとシフォンを取り戻せないからね」
俺たち三人は、
「わかった…じゃあ、まずはロクロブロンスがどこへ行ったのか、
それを把握する」
決意を固めた。
ロクロブロンス…待ってろよ
必ずお前を…倒す