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見習い魔術師の100の呪文  作者: ユキカゴ
第四章 二週目フォーミル
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第百七話 魔導呪文(イーヴィル・スペル)

豪雨の中、俺はノエルと共に忌わしき船の上にいた。

ついに追い詰めた敵、メリュジーヌが牙を向いたその日。

俺は覚悟を決めて立ち向かうはずだった。

が、あいつの…メリュジーヌの眼が、俺の弱い心を握って離さなかった。

どうも…自分にとっては、応えたらしい。

自分は恐怖で体が動かせなかった。

立ち向かう事すらできなかった。

だから、ノエルにはわりぃことしたって、今でも思ってる。

あいつに…あいつに、俺の情けない覚悟の俺を庇わせちまったのは、

紛れもなく俺の仕業だったんだからな。


「効かない?はっ?そんなことあるわけないやろ!そんなことにわいに効くと思うんかいな!」


「ああ、そうだ」


手のひらでバルディッシュを回し、握る。

そして大きく振りかぶる。


ジャイクはそれを受けようとする。

勿論、報復がその攻撃を跳ね返すからだが、その報復の効果が発動しそうになった時、

赤き文様が、光りだす。

光は、段々と報復を包み込み、やがて光をなくす。

すると、先ほどまで報復で跳ね返っていた攻撃が、そのまま通用するようになった。


「ぐぁっ…なんや…報復が効かへん!」


「だから言っただろう、バルディッシュにはもう、報復は効かないと」


無防備な体に一閃。

その攻撃はジャイクを真っ二つに切り裂いた。


「終わりだな、スター」


「報復を…貴様は、いずれ…味わう事になる…ぞ!」


「もう、受けてるさ…あいつにな」


ジャイクは次に瞳に光を失い、次に意識を失い、生命力を失った。

バルディッシュから手を離し、バルディッシュを消したシフォンは片手を軽く握り、

祈りを捧げた。

彼なりの敬意であったのだろう。

彼は次にその塔の出入り口から姿を消した。

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