第百三話 報復のスター
(--- 日傘の塔 ---)
「はぁ…はぁ…なんやねん、その武器…」
「あぁ?これか?こりゃあ鎌っつうんだ」
そういって、シフォンはブンブンッと鎌を回す。
相手は少し後ずさりする。
スレスレで攻撃をかわし、そしていつか間合いに入れるだろうと考えて、機会をうかがっているようにも思えた。
風貌と言えば、少し若々しい。
が、それなりの美貌を兼ね備えた姿をしていた。
「『アンサラー』」
鎌の刃が当たる直前、唐突に彼はそういった。
直後、刃はグニャリと曲がり、シフォンへ向けて尖っていく。
「うおっ…」
腹部に刺さった異様な形をした自分の武器を見て、半ば驚きをシフォンは見せたが、次には
「この程度のダメージ、痛くねぇ…お前の武器の能力…それが何か、わかったぜ…
この自分自身へのダメージを相手に加える武器…こいつは『報復』だな?」
「そこまで知られているとは、光栄やんな…いいや、むしろそいつぁ自分にとっては不幸か…
教えといたるわ…自分、指一本わいに触れることはできへん、この『報復』がある限り」
報復。
報復とは、仕打ちを受けたのを仕返すというもの。
そう、この報復の剣、アンサラーは攻撃してきた相手にそのまま返す能力を持っているわけだ。
だからこそ、この刃が刺さるという現象が起きている。
…。
「少なくとも、この能力を持っているのは…ジャイク・ルスター…報復のスターと呼ばれる男だったな」
「…わいの名前知ってて、まだ戦う気残してんのやってたら、あんた…ただのアホやで」
しかし、その言葉に一つも動じないシフォン。
そのシフォンは、拳でバルディッシュを強く握り締め、バルディッシュを折った。
その折ったバルディッシュはまるで割れたガラスのようにバラバラに砕け・・・。
「俺たち、魔導師が何で王の番人になってるか、知ってるか」
その発現に、ジャイクは少々不満そうな顔をする。
「そんなん、知らんわ アホか?あんたはわいにやられるんやで?そないな事、
言うとるんとちゃうんやで?」
バルディッシュは地面に落ち…
「再構築、投影、そして…自らの剣に学ばせる事ができる」
「武器に学ばせる…?意思すらも待たぬのが物やろうが、何わけわからんこというとんねん」
バルディッシュは、また地面からその形を取り戻し、シフォンの手に丁度柄が来るように伸びた。
「学んだバルディッシュは、本来持ちえぬ力を備えて、再構築され、そして…この姿になる、これが
魔導師の使う投影武装だ」
バルディッシュの模様が変化し、そこに赤き文様が描かれた。
「さあ、これからは『報復』の攻撃は、このバルディッシュには効かない…今度はこっちから行くぜ」