第百一話 フォーミル城の陥落
俺たちは、城の外城下町へと出た。
が、そこは燃え盛る火の粉が滾る世界となっていた。
人々の悲鳴すらも聞こえない。
もう非難は済ませたのだろうか?
…そうして、悲しい事にその光景に一つ理解した事があった。
裏切りの証…旗焼きが見えたのだ。
これは既に制圧された証。
…敵は本陣にってのは…よく言ったもんだな。
「俺ら魔導師を差し置いて、あいつらは…」
「まるで、勝者気取りデスね…教えてあげますヨ、我々の恐ろしさヲね」
イペカ、エイピロはそう言った。
加えてシフォンが手を掲げて、振り下ろす。
それを合図に、俺たちは散らばり、城を囲む4つの塔へと向かった。
4つの塔… 日傘の塔、狂乱の塔、棘の塔、境遇の塔。
それぞれの塔には特徴があり、日傘のような形をしている塔は、そのまま日傘の塔と呼ばれている。
狂乱の塔は、中に入った侵入者を狂気に満ちた者に変えたとして、その名がつけられた。
棘の塔は、悪魔の珠を封印するために、その名がつけられ、
境遇の塔は、自分を映し出す精神統一の塔とも言われている。
それらに向かったのは、街に結界を張るためだ。
侵入者はそれぞれの塔の事を詳しく知っているから、どうしようもないだろうが。
{コトハ 様、聞こえますか?}
その声は、例のぷろぐらむとかいう奴のだ。
だけれども、前よりも言葉が聞き取りやすい。
成長…というべきか?
「ああ、大丈夫だ」
{では、戦況状態を確認しますか?}
「頼む」
ってか、そんな事もできるのか。
え?普通にチートじゃね?
{現在、他国3カ国の内、二国の侵攻を許しています。
まず、その二つの侵入者はこのフォーミル城の制圧を完了しつつあります。
部隊は4つ。
それぞれが塔に向かっています。
どうやら、シフォン様の言った事は正しいようですね}
シフォンのことも知っている・・・のか。
このぷろぐらむとか言うやつ・・・俺が組み込んだらしいが、どうしてここまで詳しい?
…そもそも、なんで脳内に直接流れこむように言葉がくるんだ?
もしかして、俺自身の妄想じゃあないだろうか。
…いや、それを検証するにも、今は4つの塔へと向かう必要があるな。
「なび、まず俺は境遇の塔へと向かう、そこにはどんな奴がいる?」
{おそらく、魔術対策を得たドルグレ部隊がいると思われます}
「そうか、ならあとは戦況を知らせてくれ」
俺は、加速する。
足を速め、とにかく走る。
そうして、塔が見えた時…そこから大爆発が生まれた。
次回 4つの塔の戦い。