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見習い魔術師の100の呪文  作者: ユキカゴ
第四章 二週目フォーミル
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第百話 仮面

「うぉおお!」


俺は短刀を受ける。

それを弾き返し、大きくグラムを振るう。

すると、そこに風が生まれ、それが切りつける風に変わる。


「アナザー、やれるか!?」


「…今の俺は、アナザー…じゃない、思い出したんだ、

本当の名を!」


「俺の名は…コトハ…エド・コトハだ!」


アナザーという仮の名前から、本当の名を思い出した俺はそう叫んだ。

すると、自分自身の体から何かがあふれた。

風。

暖かな黄金の風。

エド・コトハの力…。

名を得た力って事か。


「何がエド・コトハだ!それで何になる!食らえ!」


背後から攻撃を仕掛けてきた大男がいたが、

黄金の風に足元を救われてその場で舞った。

それを無意識に扱い、大男を跳ね飛ばした。


「暴風の使い手…まるで、エドワード・フォートだな」


と、シフォンが言う。

エドワードは、手から風を生み出し、嵐を現したという。

最強の魔法使い、俗にいうフォーミルの英雄だ。


その最強の魔法使いは、今はいない。

現在の魔術師ノエル=フォートに継承の儀をして、とうに亡くなっている。


俺は、手から風を生み出し、地面に叩きつける。

すると、周囲の隙間から風が槍のように飛び出し、

シフォン、エイピロ、イペカは驚き一瞬動くのが遅れたが、

都合よく風の槍が跳ね返り、壁に反射してドルグレの兵士にあたって、貫いていく。

ある者は腕を、ある者は胸を、ある者は腹を、

ある者は脳天すらも貫かれ、あたりはより赤く色を染める。


「アナザー・・・お前・・・」


「ああ・・・思い出したんだ、俺は・・・

俺は、魔術師であり、魔導師でもあった・・・

俺は…過去にいたエドワード=フォートそのものだ」


「何を言っているんだ…?エド・・・ワード・・・?」


「ああ、そうだ」


[エドワードとして生きる]


これが、俺の掲げた目標だった。

そもそもこの世界は、俺の知る世界じゃあない。

俺は何度も何度も行き来して、ある一人を救うために生きた。

死ねば戻り、ある一人が死ねば戻る。

それが、俺がこの世界でいる理由・・・【輪廻ウロボロス】だ。


「兎にも角にも、お前は俺たちの 味方なのか? 敵なのか?」


エイピロはたずねる。

俺はそれに答える。


「わかっているだろう?味方でもないし、敵でもないんだ、俺はお前とは違う」


もしもで生まれたこのエイピロという媒体を使われたエドワードは、

俺とは違う 人間 として扱われているはずだ。

だったら、俺の魂とは違う。

故に、俺じゃあない。


「俺は、エド・コトハだ、お前はエイピロ・ヤングマン…それぞれの味方、敵もいる、

俺は・・・あいつを助けられるなら、それでいい」


ちゃんとした理由が、そこにあった。

だからこそ、俺は戦おうと思えた。

キオクが消えつつあった中で、

俺はようやく思い出せた。

仮面ロシルを破壊する。


あいつは…俺の仮面を持っているエドワード・フォートの一人だ。



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