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見習い魔術師の100の呪文  作者: ユキカゴ
第四章 二週目フォーミル
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第九十九話 ぷろぐらむ

「『シュート』」


この言葉一つで、大鎌が変わる。

その曲型は、真っ直ぐと伸び、

やがてそれはある程度伸びきった後に、

その形が露わとなった。

槍だ。


先端に伸びた刃が、先ほどの大鎌の刃となっている。


「『クリア』」


同じくエイピロも、その弓を変えた。

銀色のレイピアだった。


「『トピア』」


そして、イペカはそれを唱えると、その二丁の銃器を真上へと投げた。

すると、まるで砂のようにサラサラとその姿を消していった。

しかし、イペカの手には、あたかも何かが握られているようなことはない。

一体何を・・・?


ダンッダンッ!


と、直後にイペカの方から弾丸の飛ばす音がした。

しかし、イペカの手には何もない。

正体不明の攻撃をするイペカに驚いているのは、

俺だけじゃなく、ドルグレ軍もまたそうだった。


槍、レイピア、見えない銃器。

それぞれの言葉に対応して、その武器になっているのか?

だとしたら・・・俺は目を閉じる。

そして、その言葉を放つ


「『グラム』」


と、俺が言うと、突風が圧縮されるように周囲の風が俺の手のひらに集まり…

その形となった。

それは、剣だった。

白い刃に、青い柄、黄色の格。

そして、蛇の模様…この剣…どこかで…


「はっ…!」


その時、俺は思い出した…。

これは…グラム。

そして…俺は、ノエルを救うために…


「何してるアナザー!」


「…シフォン…俺…」


両手に握られた柄。

双剣が俺の肩を落とす。

背中を丸める。


「今は目の前の事に集中しろ、話はそれからだ」


俺の耳元でイペカはそう言った。

その声は聞き覚えがあった。

その声の主を思い出した時、俺は…


あの島で、クリスと戦った時の事を思い出していた。

そう、あの最後に一緒にいたのは…メリュジーヌと名乗る奴だった。

そして、その声と瓜二つの声を持つイペカ。

いや、その姿さえもメリュジーヌそのものだった。


シフォンとは、途中からはぐれ、結局は会えずに、今俺はここにいる・・・。

記憶、経験…俺が今こうやって武器を出せるのは、

ずっと前から俺は…経験してたからだ。


経験と記憶…じゃあ、どうして俺はここにいる?

思い出せるのは、その自分のした行為だけで、

自分の考えが思い出せない。

どういう事なんだ…?


---ぷろぐらむ かいし---


直後、脳裏に何かが囁いた。

プログラム・・・?

開始って事は、何か始まったのか!?


直後、目の前がバラバラと崩れ始めた。


「な、なんだよ…なんなんだよ!これ!」


---おかえりなさいませ、えど ことは さま---


えど・・・ことは・・・?

だ、誰だよ…俺・・・のことか?


俺は…えど…ことは…。


---わたしわ、ことはさま せんぞくの、なびげたーです---


完全にバラバラになった世界。

そこは、夜空にいるような世界だった。

地面すらもなく、どうやってか浮いている自分がいて、

あたりにガラスをバラバラにしたかのように散らしていて、

それらそれぞれには何かしらの景色がバラバラに写っていた。


「俺は…そのえど・ことはっていう名前なのか?」


---そのことばからして、わたしお おわすれなのですね---


と、なると…俺は、本当の名を手に入れたわけだ。


「だが、そうとわかった以上、俺のやるべき事は一つ…ノエルを救う」


---そのことばだけわ、 ことはさま ですね---


「エド=コトハ…俺の名、ようやく戻った俺の名だ」


---ことはさま、こんごわ わたしも あなたお ささえます---


バラバラになった世界。

そして、それを行き来できる俺。

俺は記憶を途中で操作され、ニホン国の兵士とされた。

が、俺の記憶が戻りつつあると知ったニホン国は、

俺を殺すために神風特攻という俺考案の自爆攻撃を俺自身にさせたのだ。


…その時、俺は死をきっかけに俺自身の時間を戻すという魔法を俺にかけた。


それが、今も続いている。

あぁ…そうか、わかった。

俺は…その時から自分を何度も同じ世界で存在させていたんだ。

だとしたら…俺は…何度この世界に戻って…いる…?

年齢的に考えて、老ける事もないようだし、

外見も差ほど変わっていない。

それに、俺はあの教会で戦うという行為を行い、

他の俺を倒す事でその記憶をも得る事ができた。


記憶は倒さなければ得る事すらできない。

何故それが出来上がったのかはわからない。

が、俺はそれを本能的に理解し、実行した。

…もしくは、自分の命を守るため…か。

あるいは、ノエルを自分で救おうとするためか。


…未来、過去の自分からの攻撃。

そうか…俺は、何度も繰り返して世界を改変し続けた結果、

別の世界線ができてしまったんだ。


---ことはさま、 そろそろ もどしますよ---


バラバラになった世界が、段々と戻っていく。

記憶を繋ぎとめるように…

俺は、ノエルを救う。


そのためには…


「まずは、仮面ロクロブロンスを殺す」



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