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見習い魔術師の100の呪文  作者: ユキカゴ
第四章 二週目フォーミル
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第九十八話 裏切りの印

緑の装束に、フードを深く被り、

そのバラバラな身長のドルグレ軍は、

俺を挟み撃ちにして、退路を断っていた。


「俺みたいな弱そうな奴を寄って集って、恥ずかしくないのか?」


俺は、ふと煽ってみた。

すると、緑の装束の一人が


「私たちは、ドルグレ軍の指揮下の下動いている、

そして、同時にフォーミル王の命令で動いている」


主が二人…?

どういうことだ?

やっぱり、魔導師だってのか?

王を守る、役目の魔導師が…。


「さて、と…君には、選択権がある」


と、また別の緑の装束が言った。

この状況で選択権?

何をバカな。

攻撃を仕掛けてきたのは、お前たちだ。

そのお前たちから選択権を設けられるような、

そんな筋合いはない。

何を企んでいる?


「君には…死ぬという事実を与えられる」


一人が言った。


「そして、これには二つの選択権がある」


さらにもう一人が言う。


「どういうことだ」


俺は尋ねたが、俺にはどうする事もできないという事は、

明らかであった。

要するに、自分は今、この囲まれた状況でどうする事もできない。

従うしかない。

その従うに権利を二つも得た、という事だろう。

戦えば、相手の数で押さえつけられる。


「まず、一つ目だが、

ここで本来の意味で死ぬということ」


「そして、二つ目、

フォーミルを抜け、わがドルグレに加わること」


普通に考えれば、後者を選んでしまえば楽だろう。

だが、俺には守るべき人が、

王が、国がある。

それを奪ってまで・・・


「俺は、ここでどちらにせよ、死ぬんだ…全うしてやるさ、

俺っていうこの国の国民を守るために戦った偉人としてな!」


瞬間、緑の装束による攻撃が始まった。

俺は甕割を構えるが、そこに数人の魔導師が揃う。

その男たちは、真っ赤な装束を翻し、

巨大な鎌に茶色の皮の手袋、

白黒のオールバックの男はシフォン。

赤き装束に弓を構えて、エイピロは

低い体勢から緑の装束へと攻撃を仕掛けていた。

そして、もう一人…


二丁の銃器を構えるそいつ。

いや、それが何故銃器という名称であるかと理解できたのか、

それはわからないが、少なくともこれが鉛の弾を飛ばす筒である事が、

今の俺には易々と理解できた。

赤い装束のそいつは、フードを脱ぐ。

長い髪に、金髪。

綺麗な顔立ちが妙に目立つ。

そいつは、ほとんど表情を変えずに、

ダダンッダダンッと銃撃を響かせ、あたりの緑の装束の足をとった。


「フォーミル王、直属部隊…シフォン隊だ、こうもあったりと敵の侵入を許すってのは、

一体どういう了見だ?アナザー」


シフォンは俺を見ずにそういった。

その背中には、隊長格の象徴である十字剣があった。


「こいつら、魔導師だ…この国の魔導師だよ!」


俺がそういうと、シフォンはその物凄く重そうな大鎌をブンブンと振るい、

回転させながら投げ飛ばした。


「あいつらは、魔導師ではない、あいつらはドルグレ軍の差し金、

そして投影武装や呪文など、魔法を扱う俺たちへの反抗組織の一員だ、

俺たち魔導師は、主君への忠義を失っておらず、人の前に、戦士として、

此処にて命を全うした、これからは…『死んだ部隊』の反撃だ」


シフォンはそういうと、緑の装束へ肉弾戦をしかけた。

攻撃のテンポが異常に早い。

他の奴らが追いつけていない。

奴らが攻撃を仕掛ける時には、シフォンは既に攻撃を終えているようだ。

はっきり言って、これほど心強い味方もいない気がした。

…そして、シフォンは言う。


「ここからは…俺たちも共に戦う…イペカ、エイピロ、アナザー…

魔導師の力…見せてやるぞ!」



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