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見習い魔術師の100の呪文  作者: ユキカゴ
第四章 二週目フォーミル
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第九十五話 緑の装束

「だ、誰だ!?」


俺はベッドからサッと起き上がり、扉から一番遠い壁際へと立った。

扉の向こうから気配がする。

・・・壁に立てかけてあった甕割を手にし、鞘から抜き、刃の先端を扉へとむけた。


「お前が…ロシルか?」


「いや…違う」


その声は、男の声だった。

若々しさがあり、声は高い。

そして、扉がゆっくりと開かれた。


「では、死んでもらうぞ!」


そいつは、そういうと、ナイフを投げてきた。

それをかわし、そいつを見た。

緑の装束と、その背中に赤鷹の紋章が描かれたそれを着たそいつ。

歴書で読んだ、あの赤鷹の紋章は、確かドルグレ国のもの!


「侵入者か!」


途端に緊迫が増した。

しかし、何故こいつが俺の瓜二つと言われているロシル=フォートに接触しようとしたのか

まだわからない…。

だが、考察は後だ。今はこいつから仕掛けてきた。

戦うしか手段はない。

逃げるわけにもいかない。

ドルグレは敵国だ。

フォーミル国は、他国との同盟はおろか、停戦協定すら結んでいない。

皆から敵とみなされるこの国に他国の侵入者があれば、それは


「敵国偵察ってわけか、ドルグレの者!」


「敵国偵察?この国にそのような価値はないと思うがね?

仮にあるとしたら、ロシル=フォート…そいつの魔術師の呪文だけだ」


目的はそれか。

呪文という特殊な系統を使って、詠唱なしで魔法を発動させる魔術師だが、

その実、大した魔力を持っていない者でも、簡単に呪文は扱える。

つまり、呪文さえ使えれば、魔術師は誰にでもなれる。

恐ろしいのは、その呪文だ。

1~100まであり、便利なものから、大魔法まで、

様々な魔法を一瞬で発動できる。

とんでもない代物だ。


だからこそ、魔術師は狙われている。

この国フォーミルが他の国との同盟や停戦を組まないのは、

その呪文を条件とされるからだ。


俺は、太刀を振るう。

すると、そこに青い衝撃波がうまれた。


「な、なんだこれ!」


その衝撃波は、そのまま緑装束の男の方へと向かっていく。

無音サイレント衝撃波ショックウェーブ

そう思える程に静寂なるものだ。

男は、装束から黒い皮の手袋に包まれた手で、その衝撃波を受け止める。

が、衝撃波は触れると、暴発して、突風となって、男に襲いかかり、吹き飛ばした。


「この衝撃波・・・いったい・・・」


男は、廊下の壁に叩きつけられ、体をだらーんとしていた。


「くそ、なんなんだ…」


男はそういいながら、俺を睨んだ。

思わず睨み返し、


「俺が聞きたいよ…一体、俺は何者なんだろうな」


俺は、そいつを縄で縛りつけ、警備兵の元に連れて行くこととした。

・・・だが、


「なんだ…よ…この惨状は…」


城内は、ボロボロになっていて、所々に焦げ痕が残っていた。


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