第九十話 始まりの戦い
<・・・起きて>
そう、声が聞こえた。
見えている世界は、ともてつもなく何もない焼け野原。
俺はそこで一人、涙を流す。
たった一人、変わらぬ情景。
永遠と続くその情景を、いつしか変えようと望んでいるような思惑すら
浮かばぬ程の絶望をしていたのだろう。
…俺は、ここで何をしているんだ・・・?
「・・・くっ・・・」
俺は目覚めた。
先ほどと変わらない草原。
街は…目の先にある。
ただ、日が落ちてきているのか、少し空が赤い。
俺はゆっくりと体を起こし、まず周りを見た。
俺の服装は白いジャージに紺色のズボンをはいている。
動きやすい服装だ。
そして、片刃の剣。
俺は疲れて寝てたわけか・・・。
「…さっきの土の化け物もいないみたいだし…街に行ってみるか」
俺は歩みを進める。
ゆっくりと、確実に。
街へつくと、そこでは街中が騒いでいた。
壁には一面に指名手配の紙が張られていた。
「黒服の女…?」
と、紙を見ていた時、目の前に影が通る。
俺は上を見ると…
太陽の光を隠し、そいつは俺の背後に降り立った。
「…なんだ!?」
「げっ、こんなとこにも人いたんだ…面倒だから…」
直後、その黒服は、指をパッチンと鳴らした。
俺は、気を失い、倒れた。
何度も何度も、気を失う。
失うものは、気以外にも…あったんじゃないか…?
そんな事を、俺は気を失う瞬間に思い、気の失う瞬間に忘れた。
「…おやすみなさい、ロシル…」
~全ての歯車は、再び回り始める~
--本当の戦いは、これからよ--