白の悪魔の涙
数日後坂井刑事から連絡があった
待ち合わせをした喫茶店へ
「これが君に頼まれた調べ物だよ」
出された資料はそこまで分厚くない
『まぁ…証拠を安易に残すようなやつらじゃないか…』
渡された資料には和兄が書いてあった事しか載っていない
だが、最後の一枚をめくると
(その組織に関与した者は全て謎の死を遂げている)
と書かれている
…証拠を残さないのは
証拠そのものを消しているからか
「どうだい?燐騎くん」
と坂井刑事
『あ、はい…ありがとうございます』
と言うと
「こんな危険な組織を相手にするつもりかい?」
と聞いてくる坂井さんの顔は本当に心配そうだった
『父さんたちが自分の命と引き換えに置いて行った、最後の願いなんです。それを叶えてあげるのが、俺に出来る供養です。』
と言った
「無茶はするんじゃないぞ」
その声を聞きながら俺は喫茶店を後にした
『わからねぇ…あいつらの全てが』
金色に輝く髪をおもいだしながら
『銀の化身ねぇ…人殺しとはいえ、そいつも人間だろうに…化け物みたい呼ばれてんのか』
あいつは俺よりももっと暗い過去を持ってるような気がした
『俺んちに行ってみるか』
満月が真上に来るころに俺はおじいちゃんの家をまた抜け出した
自分の家に着きふと屋根の上を見ると
銀色のそいつが立っていた
『お…ぃ?』
涙?
月明かりに照らされて何かが光った気がした
まさか、なぜあいつが泣かなければいけない
俺から全てを奪ったのは紛れも無くあいつだというのに
なぜ、あの涙を綺麗だとおもってしまったのか
「居たんだ…」
屋根の上から静かに降りてきたそいつは俺にそういった
『いま、泣いていなかったか?』
と言うと
「僕がなぜ君の家の屋根の上で泣かなければならない?」
と言われ
確かにこいつには泣く理由が無い
『そうだな…気のせいだ』
と呟くとそいつはまた消えた
そして新たな疑問にあたる
『なぜ、あいつは俺を殺さない?あいつの情報を持ってる、俺はもう邪魔でしかないのに…何故だ』
誰も答えてくれそうに無い素朴な疑問を聞いていたのは
空に輝く月と身を潜めていた銀の化身だけだった
「(僕にも分からないよ…いつもならとっくに殺してるのに…)」
燐騎と言う敵である存在が
銀の化身を少しずつヒトに戻していたのだ
アドバイスよろしくお願いします。