エロ釣りネット小説よりも、予防線なしで読んだ純文学のほうが地雷埋まってる
皆さま「エロ釣り」という技術をご存知だろうか。
タイトルやあらすじにエッチなワードを入れたり、雰囲気を匂わせた上でR指定タグをつけて、エッチな人を引きつけて読ませる作者の作戦だ。
しかし実際の本文での性描写はマイルドでさらりと書かれていることが多い。
特にここ「小説家になろう」ではそれが顕著だ。なろうで公開して良いのは、R15指定までだからだ。
詳細にねちっこく描写してしまうとR18作品となり、成人向けサイトへ移動願われてしまう。
そうならないために、「エロ釣り」しつつも、違反にならないように描写に工夫をするのも一つの技術だ。
しかしR指定がきちんとしてある映画やネット小説と違い、一般小説には何の警告もなく、生々しい性描写や暴力描写がありありと書かれていることがある。
私が中学生のとき、「とても有名な純文学」という認識のみで「ノルウェイの森」を読んだときの衝撃たるや。
「村上春樹作品には必ず詳細な性描写がある」と知っている今や、読む前から心構えができているが、何も知らない純真無垢な中学生が読むには衝撃的だった。
読書経験を積んでからは「特に芥川賞(ノミネート作品を含む)には地雷が埋まっている」と知った。
知らずに読む人もいるだろう。
「芥川賞をとった(ノミネートされた)話題の作品だ→素晴らしく文学的な作品に違いない→読んでみた→なにこれ、性描写と暴力描写がエグすぎて鬱になる」
こんなトラウマ、あるあるじゃなかろうか。
過激な描写があると知っていて読むならいいし、地雷を踏むのが大人ならまだいい。
しかし一般小説にはR指定がなく、警告がないため、そのような描写があるとは知らずに、子供でも読んでしまうこともあるのだ。
中学校の図書室に「蛇にピアス」が置いてあった。
芥川賞を受賞したときに話題になった本だが、読んだことがなかったので、読んでみた。
作者が女子大生だったことでも注目を浴びた本だ。
読んでびっくりした。性描写と暴力描写のオンパレード。もはやそれしかないといっても過言ではない。
純文学の中に地雷が埋まっていることは知っていたが、埋まっているどころの騒ぎじゃない。砲撃を浴び続けて、HPはもう0だよ……パタリ。
これが文学だと言われれば、そうなんだろう。
文学賞とってるし。
しかし中学生に読んでほしいものではなかったので、そっと除架して書庫にしまった。
以来、芥川賞(ノミネート作品を含む)には特に警戒している。
自分が読むにはいいが、未成年に読ませていいものかどうか。
R指定がないので、各々で判断するしかない。
宣伝文句やレビューを見ても、文学的な素晴らしさを絶賛されているだけで、じゃあ大丈夫かと実物を読んでみたら、「やっぱりお前もか」なことが多い。
過激な性描写と暴力描写とメンタル病み病みの登場人物たち。
きっと純文学とはそうあるべきなのだろう。
もちろん芥川賞(ノミネート作品を含む)にも過激な性描写や暴力描写がなく、安心なものもある。
ただ地雷が埋まっている確率は高い。
わりと安心して読めるのは、直木賞や本屋大賞だ。
中高生に安心してオススメできるのは、瀬尾まいこだ。
「優しい人たちしか出てこない世界」と言われる瀬尾まいこ作品だが、だから安心なのだ。
優しいお話で明るい読後感。
「優しくていいお話」だけを子供に読ませたいというわけではないが、あまりに過激な性描写や暴力描写があるものを「そうとは知らずに」読んでしまうことは避けさせたい。