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第八十三話 明日から学園へ


 …明日から復学だけど、大丈夫よね?


 先程からベッドから起き上がっては忘れ物が無いか確認するという行動を繰り返している。


 …ああ、ドキドキして今日は眠れないかも…。


 そしてふとサラ(ビアンカ)にメッセージを書いた白い紙が目に止まった。それは本棚の上に置いてあり、『ビアンカへ。元の世界に戻りたい?元の世界に戻る方法は知っている?』と書いてある。


 …サラ(ビアンカ)はこのメッセージ見てくれたかな?あんなひどい男の側で働いているから、こっちの世界に帰りたいかもしれないわ…。もしそうだったら私はまたあちらの世界に帰らないといけなくなるのかな?帰りたくないな。両親やメイと離れたくない…。


 なかなか寝付けず色々考えていたが、いつの間にか夢の世界へと入っていた。


 ――――――――――――――――――――――


 ――――――――――――――


 「山口先生!田中さんの意識がありません!」


 「何でだ!?さっきまであんなに元気だったじゃないか!?院長を呼んでくれ!」 


 そう言ってサラと遼は患者様の元へと急ぐ。


 心肺停止の為、蘇生処置を施す。


 蘇生処置をしながらサラは遼に「先生はカリウム製剤の処方指示は適切になさいましたか?」と問い、側にいた看護師にも「カリウム製剤を施行したのは誰ですか?」と問うた。この患者様は低カリウム血症で本日より点滴が開始されていたのだ。


 遼は急に青い顔で震え出した。


 そこに遼の彼女が現れ、「注射は先生がされましたよね!とても上手でしたよ!」と場違いな声を出す。


 「どうしたんだ!」と遼の父親である院長が現れ、現状を見て、遼とサラ以外は退出するよう指示された。


 「…マリリン(遼の彼女)と話しながら……。何も考えず……。カリウム製剤を側管(点滴の)からワンショットしてしま……はぁ…ううっ……!」


 遼はパニック状態となっている。


 どうやら遼が彼女とイチャイチャしながら施行して、点滴に混ぜないといけないカリウム製剤を側管から急速に静脈注射してしまい、心停止をきたしてしまったようだ。所謂、医療事故。何故看護師に任せず自分で施行したのか?それも不思議だ……。どうせ彼女に教えてくれとか何とか言われたんだろう…。


 「遼、お前も出て行け……。」


 院長は遼にも退出するよう促し、病室には患者様と院長とサラだけとなった。


 「……サラ、出来るか……?」


 院長は徐にサラに尋ねた。


 「……やってみます。」


 サラはそう院長に返事すると、患者様に両手を向け、詠唱を始めた。


 患者様が光に包まれる。


 …サラが魔法を使ってる!


 …というか、遼のお父さんはサラが魔法使えること知ってるの!?


 「はぁ、はぁ……。難しいです。やはり、魔力が減ってきています。この世界に来て、この世界の人間になりつつあるのかもしれません……。」


 「いや、効いている!もう少し頑張ってくれ!もう一度、電気ショックで……。」


 サラと院長の処置のおかげで、患者様は一命を取り留めた。


 「ありがとう、サラ。また助けられたよ。本当に愚息はいつもいつも……どうしようもないやつだ!」


 院長はサラに頭を下げた。


 「いえ、私の方こそいつも院長には助けられています。院長がいなければ何も分からないこの世界でやっていくことは出来ませんでしたから……。」


 病室を出て、皆に一命を取り留めたことを伝える。


 遼もスタッフ達も皆ほっと一安心していた。只、遼の彼女だけは何があったのか理解出来ず、場違いな言動を繰り返すのみだったが……。


 …それにしても、遼のお父さんとサラは何があったのかしら?


 …サラは今どのように暮らしているの!?

 


 


 


 


 


 

読んで下さり、ありがとうございました。

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