第八十一話 眠気の原因
起きあがろうとして、左腕に点滴が施行してあることに気が付いた。
「ああ、ビアンカ。目が覚めたのか?今、体の中の薬物を出す為に利尿剤の入った点滴をしているんだよ。」
!?薬物……!?
「……やっぱり、あのクッキーに何か入っていたの!?」
「いや、まだ何に入っていたかは分からないが、ビアンカの体内には睡眠薬が残っているのは確かだよ。クッキーの可能性も高いから、クッキーはもう勧められても食べてはいけないよ?」
…もし本当にクッキーの中に入っていたのなら、マーガレット様はどうしてそんなことを!?
それにしても体の中の薬が抜けてきたのか、随分と楽になってきたわ…。気怠い原因が分かっただけでも良かった…。
その日は公爵家の従者に医務室まで迎えに来てもらい、帰宅した。この事件については学園で詳しく調べられることになった。
公爵家に戻ると、学園から事情を聞いた両親や使用人達がかなり心配しており、暫く休学するようにと強く勧められた。
「…誰がビアンカに睡眠薬を!?まだ睡眠薬で良かったもののこれが毒物だったらと考えると、怖くて仕方ないわ…!」
お母様はカタカタと恐怖で震えておられる。
お父様も「由緒ある学園でこのような事件が起こるなんて!大事な生徒一人守れないのか!?教師は何をしているんだ!?」と憤慨されている。
…皆心配してくれている。私も怖くて仕方ないわ…。だけど明日の試験は受けたい。休暇中に頑張って勉強したんだから…。
「明日はテストがあります。休暇中の成果を試す為にも登園させていただけませんか?」
「駄目だ!暫く学園へは行ってはならん!せめて睡眠薬がどのようにビアンカに入れられたのか、それだけでも明るみにならないと行ってはならんぞ!」
普段は温厚な父も今回ばかりは激怒している。
…確かに…原因が分かるまでは危険だから行かない方がいいよね…。
――そして、暫く私は学園を休むことになった。
読んで下さり、ありがとうございました!