第八十話 医務室で
「ビアンカ、どうした?具合が悪いのか?熱があるのか?」
ダグラス先生が心配そうに私の額に手を当てられた。
「少し体が気怠いんです。最近、午後からこうなるんです……。寝不足ではないと思うんですが、居眠りまでしてしまうようになって……お恥ずかしいですわ……。」
「……そうか。早くベッドに横になって休みなさい。熱も測るんだよ。」
そう言って、先生は私の頭を撫でてくれた。とても安心する手だった。
私が横になっている間、ラグエル様とジェラルド様は先生と話されていた。もう授業も始まっているのに、また迷惑をかけてしまったわ……。本当にごめんなさい……。
……そして、そのまま強い睡魔に襲われ、夢の中へと入っていった……。
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「他の病院ではもう手遅れだと言われました……。ううっ……ひいっく……治りますか……?もう先生だけが頼りなんです……。」
「あー、肺癌で他臓器に転移してしまっているねぇ…。まあ、手遅れと言えば手遅れだね…。だけど、僕なら治せるかもしれない。でも今、患者が押し寄せていて今すぐには入院できないんだよ。悪いね。」
40代位の男性は遼の手を握り、「先生、そこを何とかお願いします……!」と懇願された。だが遼は「……チッ!」と舌打ちし、患者様の手を振り解いた。
!?
……まるで鬼畜ね……!!
しかし、遼は患者様に徐に近付き、小声で何かを話し出した。
患者様は驚き、暫く固まっておられたが、
「……必ず用意します。ですから、助けて下さい……!」
と頭を下げられた。
…遼は何を言ったのだろう……?
「先生、また患者様に金銭を要求されましたね!?いつか訴えられても知りませんよ?」
「うるさいなぁ、サラは……。それくらい他の医者でももらっているよ?」
「先生は自分から高額な現金を要求されています。これはもう犯罪に当たりますよ?院長も嘆いておられます。」
「………もうサラ、いい加減この病院を出て行ってくれよ?お前の顔を見るだけで反吐がでる。」
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……目が覚めると、医務室の天井が見えた。
……ああ、私医務室で寝ていたんだわ……。まだ体が気怠い……私の体どうなってるのかしら……?ラグエル様とジェラルド様はクッキーのことを気にされていたけれど、何か入っていたの?……変な味はしなかったわよね……?
……それにしても、山口遼……本当に最低……。
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