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第七十七話 マーガレット様がおかしい‥


 「ビアンカ様、それではお昼休みに会いましょう!」


 マーガレット様は笑顔で手を振り、自分の教室へと戻って行かれた。


 …何だか不気味だわ…。


 「…マーガレット様、何だか様子がおかしかったね?」


 「…ええ、何か企んでいらっしゃるのかしら?」


 隣席のラグエル様もマーガレット様の変化に戸惑っておられる。


 「気に入られていたヘンリー副団長が隣国の王女殿下といよいよご婚約されるという噂もあるし、ビアンカ様は休み中、殿下と仲良くされていたようだし…?色々考えるところがあるんじゃないかな…?ひどく痩せておられたし…。」


 「私とジェラルド様は何もありませんが…。」


 「マーガレット様については暫く様子をみてみよう。…それより、休み中そんなに殿下と会っていたの!?」


 ラグエル様が身を乗り出して尋ねてきた。若干表情も険しい…。


 「一緒に何度かお勉強をしただけですわ。私、休み中頑張りましたのよ!次の試験はきっと良くなっていると思いますわ…!」


 「そう…。それだけならいいけど…。」


 ――――――――――――――――――――


 ――――――――――――――


 お昼休みになり、マーガレット様が教室まで迎えに来られた。


 「ランチ、カフェで一緒に食べましょう?」


 「ごめんなさい。私、お弁当を持って来ているのよ。」


 「そうですか。それじゃあ、私は軽食を買って参りますわ。」


 「えっ!?そこまでしなくても……。」


 マーガレット様は急いでお昼を買いに行かれた。中庭で一緒に食べる約束をしたので、先に中庭のベンチへ行き、ぼんやり座っていると、


 「あっ、やっぱりここにおられた。私もご一緒してよろしいですか?」と、フロレス様がお弁当を持って話しかけて来られた。


 「はい。勿論です。どうぞこちらへお掛け下さい。」


 二人で楽しく会話していると、マーガレット様が戻って来られた。


 「フロレス様もいらしたのですか?」


 「はい。ご一緒させて頂いてもよろしいですか?」


 「……ええ。よろしいですわよ。」


 フロレス様を見て、マーガレット様の表情が明らかに曇った。


 「今日はジェラルド様はご一緒ではないのですか?」


 フロレス様がマーガレット様に問われると、マーガレット様は「お昼休みと放課後は生徒会の御用があるので、生徒会室で食事をされていますわ。」とそっけなく返事をされた。


 「…そうでしたの。お寂しいですわね。」


 「いえ!そんなことはありませんわ!ビアンカ様がいらっしゃいますし!ねぇ、ビアンカ様?」


 「えっ!?えっ!?」


 急にマーガレット様に笑顔で手を握られて、ゾワーッと悪寒がした。


 「……お二人、そんなに仲がよろしかったかしら……?」


 訝しげな表情でマーガレット様を見つめるフロレス様。


 「それより、ビアンカ様!私クッキーを焼いたのです!食べて頂けませんか?」


 「…えっ!?クッキーまで…!?…ありがとうございます…。…それじゃあ、皆で頂きませんか?」


 「いいえ!ビアンカ様の為に作って来たのです!!ビアンカ様が食べて下さい!!」


 マーガレット様は私にグイッとクッキーを押し付けてこられた。目ヂカラがすごい……。


 ……毒……なんて入っていないわよね……??


 「……………………………………。」


 私がクッキーを見つめたまま固まっていると、「毒なんて入れていませんわよ?不安なら食べて差し上げますわ。」と1/3に割ったクッキーをマーガレット様が自身の口に入れられた。正直……食べたくはないけど、本当に好意で持って来て下さっていたのなら悪いし……。


 えいっ!!


 意を決してクッキーを口に入れた!そして残りのクッキー5枚も勢いよく食べた。


 「……美味しい。」


 甘くて美味しい普通のクッキーだった。


 「良かった!また明日も持って来ますわね!」


 …えっ!?明日も……!?

 


 


 


読んで下さり、ありがとうございました!

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