第七十一話 冬休み最終日② モリス先生の失敗
「用意は出来たか?」
「「きゃーーーーー!!!」」
部屋でメイに髪を整えてもらっていると、突然モリス先生が背後に出現した為、驚いて悲鳴を上げた。
…きっ、着替えが済んでいて良かったわ…。
「…すまなかった…。ビアンカ嬢のいる場所へと転移したら、プライベート空間に入ってしまった…。驚かせて、そして失礼極まりないことをしてしまって、本当にすまなかった…。」
…モリス先生が項垂れ、謝っている…。
…しゅんとした先生…何だか可愛い…。
「本当に失礼な御人だわ!女性の部屋へ断りもなしに入ってくるなんて!しかも支度中よ!?」
メイはかなり立腹している。そんなメイに叱責され、ますます項垂れるモリス先生。
「先生、もうよろしいです。これからは気を付けてくださいね。」
「…すまなかった…。…それでは一旦失礼して、エントランスで待っていることにしよう…。」
………パタン…………
静かに、申し訳なさそうに扉が閉まる音がして、
「「ぷぷーー!!」」
メイと私は堪えきれずに笑ってしまった。
ビックリしたのと、しゅんとした先生の顔と、しっかり者の先生でも失敗することがあるんだということと、色んなことが混ざりあって、可笑しくて仕方なかった。
それにしても先生の格好、ちゃんと見れなかったけど素敵だったよね!?
エントランスに行くと、先生が窓辺に佇み、外を眺めておられた。
白シャツにネイビーのジャケットを羽織ったモリス先生は、いつもの魔道士感半端ない服装とは違って、威圧感もなく、素敵だった。…威圧感がなくなり、親しみやすくなったのは先程の一件のせいでもあるのだけど…。
光の加減で青にも黒にも見える髪は晴れた夜空のようで、その髪を今日は後ろに撫でつけておられる為、いつもの鬱蒼とした感じが全くなく、誠実な印象を受ける。露わになった顔はやはり美しく、こちらに気付いて微笑まれた時、心臓がドキリと跳ねた。
…今更気付いたけど、先生も素敵だったのね…。
…変に緊張するから、いつもの慣れた魔導士の格好で良かったのに…。
「さあ、転移するぞ!」
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