第六話 放課後の勉強会
放課後の勉強会。
図書室は人が多かったので、教室で勉強することにした。
「何が勉強したい?」
ラグエル様が頬杖をついてじっと顔を見つめてくる。
何だか焦る…。
「私は魔法に関することが苦手なので、魔法薬学や属性分類など学びたいのですが…アラン様はどうですか?」
前に座っているアラン様に声をかける。
「僕は明日歴史の小テストがあるから、歴史をするよ。」
「そう‥。それじゃあ、個々に勉強して、分からない所は質問し合うことにしましょうか。」
私は魔法薬学のワークに取り掛かった。
私の手が止まると、ラグエル様が覗き込んできて教えてくれる。ラグエル様はアラン様も気にかけてくれているようで、分からないところや重要ポイントなどを解説している。
「ラグエル様自身の勉強が出来ませんわね…。」
「いいんだよ。この時間は君達の役に立つつもりで来ているんだから。」
さすが委員長ね…。小説で冷徹な印象しかなかったけれど、責任感があって優しい人かも。
放課後の教室は集中出来、気が付くと辺りが薄暗くなっていた。2時間近く経っていたようだ。
「僕とアランは寮だけど、ビアンカ様は帰らないといけないだろ?そろそろ終わりにしよう。」
「ラグエル様の解説は本当に分かりやすかったです。お時間を割いて頂いてありがとうございました。」
「僕まで教えてもらって、本当にありがとう。」
「明日は1時間位にして、また勉強する?分からない所をメモしておいてほしい。」
「はい。ラグエル先生。」
自室で一人で勉強していても分からないことだらけだから、今日は本当に助かったわ。
2人に門まで送ってもらい、家路についた。馬車の中でも帰ってからも学園での出来事を話した。侍女のメイも両親も楽しそうに話を聞いてくれた。
何て優しい人達なの!?
この人達を悲しませないよう私は勉学に励むわ!
※ ※ ※ ※ ※
「おはようございます。マクレイン様。」
「今日は魔法実習がありますわよ。楽しみですわね。」
登園して早くも2週間が経つ。周りの生徒達はだんだん私にも声をかけてくれるようなり、居心地も良くなってきた。アラン様も怯えず、普通に喋ってくれる。放課後の勉強会も続いており、最近は授業も良く分かるようになってきた。
本当、ラグエル様のおかげだわ…。
隣の席のラグエル様を見ると、真剣にノートをとっている。時々、ノートが光るので気になり見てみると、文字が消えたり、直されたりもしている。色がつけられたり…この人すごい!
「どうしたの?」
ラグエル様が私の視線に気付き、声をかけてきた。
「ラグエル様、魔法がお得意なんだなと思いまして。見入ってしまいましたわ。」
恥ずかしくなり、俯いた。
ラグエル様はクスッと笑い、
「また教えてあげるよ。」
と、耳元で囁くように言った。
!!!?ひゃー!
15歳の少年に翻弄されている!
顔が熱くなってしまった…。
私は平静を保とうと努力し、授業に集中した。