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第五十五話 冬休み⑥問い詰められて‥


 「……君は誰なんだ?」


 ……どっ……どうしよう!?


 「何故ビアンカ嬢に憑依している?!」


 …取り憑いてなんかない!


 …こっちが聞きたいわ!


 「……私は何もしていません!気がついたらビアンカ様になっていたんです!」


 「……で、君は誰なんだ?」


 「……私は『高峯さら』と申します。」


 「……聞いたことがない名前だ。別の国から来たのか?何の目的で?ビアンカ嬢をどこへやった?!」


 モリス先生は恐ろしく冷たい表情で私を見つめている。


 「……私は日本という国に住んでいました。」


 「……日本?聞いたことがない。嘘をつくとただでは済まさないぞ。」


 ……ひぃっ!先生怖すぎる……。


 「本当です!私は日本という国に住んでいました。異世界だと思われます。私は本でこの世界のことを知りました。そしてある日突然ビアンカ様になっていたんです!」


 私は冷たい視線に怯えながらも必死に先生に訴えた。


 「……では何故熱心に禁呪法について調べようとする?何か企んでいるのではないのか!?」


 「……私は日本で小説を読みました。その小説の舞台はこの世界です。内容は、婚約破棄され嫉妬に狂ったビアンカ様が禁呪法を使い、処刑されるというものでした。ビアンカ様が不憫だと思いながら眠りにつき、目覚めると私自身がビアンカ様になっていたのです。私はどうしたらいいのか分からず、取り敢えずビアンカ様のフリをして過ごしてきました。でもそれももう限界で、何故ビアンカ様になってしまったのか、私はこれからどうすればいいのかを調べていたのです。今日、ビアンカ様が使ったと思われる禁呪法の本に出会ったので、読んでいたのですが……。」


 「…………………………………………………。」


 先生は長い指を顎にあて、『うーん』と唸りながら考え込まれている。


 「………それは真実か?」


 「真実です!」


 「……………………………………………。」


 「……………先生?」


 「……………君の話が真実だという証拠は?」


 …………………………………は?


 「……証拠はありません。」


 「……ビアンカ嬢が小説の中で禁呪法を使ったので、禁呪法について調べたのか?」


 「はい。そうです。」


 「調べて自分も使おうと思ったのか?」


 ……………………………………はい?!


 「いいえ!絶対使いません!……それに、ビアンカ様の性格などを調べるうちに、ビアンカ様は他人に対して禁呪法を使うような方ではなかったのではないかと思うようにもなりました。もし使うとしたら自分自身に対して使ったのかも……?」


 「…………それは小説の中での話か?」


 「えっ?!ああ……そうです。」


 ……小説の中だから、実際に起こったわけではないのかな……?いや……実際の話だよね……?今が現実……?あーもう分からない!!


 「……君の話は信じ難い話だが……。要約すると、君は異世界からこの世界に飛ばされてきて、ビアンカ嬢になっていた。ビアンカ嬢は自分自身に対して禁呪法を使った可能性があり、その影響で君が巻き込まれた可能性もあるかもしれない。ビアンカ嬢は今どうなっているか分からない。元の世界に戻れるかも分からない……ということか?」


 !?


 ……………………確かに、私は巻き込まれたのかも!


 「そうです。先生と話して、私も頭の整理が少し出来ました。」


 「…………禁呪法を自分自身に使えば命を落とすか、何らかの奇跡が起こると言われている。君の話が真実であれば、ビアンカ嬢が禁呪法を自分自身に使い、君がビアンカ嬢になるという奇跡が起きたのかもしれない。……………まあ、まだ君を100%信じたわけではないが……。」


 ……先生……信じてくれないのね……。


 ……私がビアンカ様になったのなら、ビアンカ様は今どこに……?もしかして看護師の私になっていたりして?!……って、そんなことあるわけないか。

 

 「……で、元の世界へ戻る方法を模索しているのだな?」


 「………………………………………。」


 ……何だかんだ言ってこの生活も楽しいから絶対戻りたい!とも思えないのよね……。


 「このままこの世界にいたいとも思うのですが、いつ元の世界に戻るか分からない不安定な状態で、将来のこと等積極的に考えられないのです。何故ここに来たのか、これからどうなるのかも知りたいのです。あと、ビアンカ様が今どうされているのかも……。」

 

 「元の世界に未練はないのか?」


 「……ありません。」


 …私の両親は幼い頃離婚し、母に引き取られたけれど、再婚した母と義理父の間に子供ができて、ずっと孤独を感じていた。奨学金で学校を卒業し、看護師になってからは一度も両親に会っていない。病院では友達もできて割と楽しかったけれど、休みの日は引きこもっていたしね……。ああ、でも受け持ちの患者さんのことは気になるなぁ……。


 …この世界に来て初めて両親の温かさに触れ、信頼できる侍女のメイとも出会い、充実した生活を送れている。学園で友達も出来たし…。この生活と別れるのは寂しすぎる…。


 「出来れば、ずっとここにいたいと思っています。でも私がいることでビアンカ様が戻れなくなるのも悪い気がして…。どうしたらいいでしょうか…。」


 「………………………………………。」


 「……………………君の話を信じてみることにして、私も異世界や禁呪法について調べてみよう。この話は危険なので他には言わない方がいい。」


 !!


 …先生が神様に見える!


 「先生、嬉しいです……。感謝申し上げます……。」


 今まで一人で悩み、張り詰めていた糸が切れたように涙が止めどなく溢れてきた。先生はとても優しい笑みを浮かべておられた。


 …モリス先生って、良い方だったのね…。


 




 


 






 


 

 


 


読んで下さり、ありがとうございました!

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