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第四十七話 冬休み①公爵邸にて※ビアンカってどんな子だったの?

 

 冬休みの為、アラン様やラグエル様達は帰省された。またすぐに会えるが、毎日一緒に過ごしていたので少し寂しい。休み中に会おうと約束したのは、ジェラルド様とショーン様、フロレス様だけだ。ラグエル様やアラン様も遊びに来て欲しいと言われていたが、遠方の為お父様のお許しが出なかった。ジョージア様もいつでも遊びに来てと言われていたが、彼女の家は国境近くのメロイド辺境伯領…断トツで遠い。もし行けるとしたら今回の休暇より長い夏休み中だろう。


 先日の試験結果については正直に言うのがためらわれたが、どうせバレてしまうだろうと正直に話した。お父様は眉間に皺を寄せ言葉を無くしておられたが、お母様はよく頑張ったわねと褒めて下さった。


 …次の試験はもっと順位をあげますから見ていて下さい…。私は心に誓った。


 さて、この長い休みを有効に使おうと決めていた私は、まず『ビアンカについて』調べることにした。


 昔のことを思い出したくなった等と言って、侍女達に思い出の品を集めてもらう。


 …あやしまれなくて良かった…。


 「これは…ノートね?」


 ものすごい数のノート。それは8歳から受けていた妃教育に関するものだった。


 ……すごい……!こんな幼い頃から丁寧にまとめてある!ビアンカって、真面目な子だったのね?!


 「お嬢様は本当に一緒懸命、寝る間も惜しんで勉強されていましたね……。なのに、殿下は……!」


 「あっ…メイ?私、殿下とはもう良いお友達になったの。恨んでないのよ?」


 「お嬢様はお優し過ぎます!」と、鬼のような形相のメイ。


 …あれ?このノートはぐしゃぐしゃに破かれているわ…?…このお人形も潰されてる…?


 「………………………………………………。」


 私は無言でそれらを手に取り見ていた。


 「………お嬢様………今から思えば、お嬢様の癇癪も教育のストレスや、殿下の素っ気ない態度からくるものだったのかもしれませんね……。」


 メイは目を潤ませている。


 ……ビアンカはよく癇癪を起こしていたのね……。それで、転生直後は使用人達がビクビクしていたんだわ……。




 「……そうだわ。私、記憶が曖昧なんだけど、魔法はいつから使えたかしら?」


 「……それは……。執事のクラーク様に聞けば分かると思います!」


 メイは執事のクラークを呼んできてくれた。


 「お嬢様、お呼びでございますか?」


 いつも柔らかい笑みを浮かべた年配のクラークが来て下さった。私は彼にビアンカの魔法力について、それとなく聞いてみた。「何故そのようなことを?」というような訝しげな表情だったが、「他の人から見て、幼い頃の私の実力はどう見えた?」という質問に変えると、饒舌に話してくれた。


 「お嬢様はさすが公爵閣下の御息女と言われる程聡明で、3歳の頃には風魔法で玩具を浮かせたりされていましたよ。」等、かなり優秀だったことを饒舌に語って下さった。目を細めて、まるで自分の子の話をするように優しい顔をしておられる。


 「……お嬢様は……今のお嬢様は雰囲気がやわらかくなられましたが、以前は皆に厳しくあたられていましたね…?それで皆から嫌なことを言われたりされていましたが、私はお嬢様の意見は全て正論だったと思っています。人にも厳しいですが、自分にはもっと厳しくされていたお嬢様。私はいつも聡明なお嬢様の味方です。」


 ……ビアンカ……生まれながらの天才?!


 ……人にも厳しく、自分にはもっと厳しく!?


 ……これは追いつくの無理か………………?


 ……取り敢えず、今両親は『婚約破棄のショックでおかしくなった』と思ってる。それを通そうか……?でも今やジェラルド様とは気の休める友達になってしまったから、無理があるよね……。どこまで出来るか分からないけど、ビアンカに近付けるよう出来るところまで頑張ってみるか!


 

 ーー今日ビアンカについて分かったこと

 ①ビアンカは父親に似て天才な上に努力家

 ② 人にも厳しいが自分にはさらにもっと厳しかった

 ③よく癇癪を起こしていた

 ④執事は味方

 ⑤殿下に素っ気なくされていた




 ……もしかして、ビアンカは悪役令嬢でなく、ただしっかりしていただけじゃないの?!本当に禁呪なんて使ったのかなぁ……?あの小説、あまり詳しく書いていなかったから分かりにくかったのよね……。




 色々疲れた私は心と体の回復を図る為、メイと調理室へ行った。そして、気さくなシェフ達に囲まれてスイーツを堪能したのだった……。


 「美味しい!元気が湧いてきたわ!」

 



読んで下さり、ありがとうございました!

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