第四十六話 昼下りの図書室で
試験が終わってから1週間が過ぎた。
ペナルティも今日で終了となり、1週間後には完全に長期休暇(冬休み)に入る。
寮生達は試験が終わると帰省準備に忙しく、侍女や侍従が多数来校している。
授業も短縮授業となっており、私も午前中で帰宅出来るのだが、図書室で読書や自主勉強したり、医務室のお手伝い(ペナルティは終わったが)をして、夕方帰宅している。
今日も午後は図書室で過ごし、その後医務室へ行く予定だ。
…最近、推理小説と恋愛小説にはまってしまったのよね…。
異世界に来てから小説は読んでいなかったが、試験も終わったのでふと手に取ってみたら、思いの外面白くて嵌ってしまったのだ。
…試験前は絶対読まないようにしよう…。でも異世界での生活がよく分かって勉強にもなるのよ?
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…窓から気持ちの良い風が入り、頬を撫でた。
…今の季節は冬にあたるのに穏やかだ。
ここ王都周辺は特殊な魔力加護が働いている為、年中穏やかな気候だ。少し北へ行けば、四季がはっきりしており、冬場は雪も降って凍てつく寒さだという。
…私は冬が割と好きだったから、雪も見たいなぁ。
…それにしてもこの恋愛小説、ベタだけど面白いわ!
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…………ふと気配を感じて顔を上げると、目の前の席にジェラルド様が座っておられた。足を組んで片手に本を持って読書される姿は、一瞬ドキッとする程美しかった。
「…ジェラルド様、いつからいらっしゃったのですか?夢中で本を読んでいて気付きませんでした……。」
「僕も今日は読書しようと思って…。ここにいてもいい?」
「……ええ。ジェラルド様も読書がお好きなんですね。」
ジェラルド様は何やら難しそうな本を読んでおられる。
…第一王子って大変ね…。私には王妃は絶対に無理だから、婚約破棄してもらっていて本当助かったわ…。
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その後は会話を交わすことなく読書に没頭し、気が付くともう夕方になっていた。
…あっ!しまった!
「ジェラルド様、私、医務室へ行ってきますね!」
そう言って急いで出ようとすると、
「ビアンカ、待って!」
ジェラルド様に呼び止められた。そして、少し言いにくそうに、「……もし良ければ、休み中も一緒に勉強しないか?」と誘って下さった。ジェラルド様の顔がほんのり赤くなっている。
「……勉強ですか?ジェラルド様お忙しいのによろしいんですか?また私ばかり教えて頂くことになりそうですが……?」
「ああ、一緒に勉強したいんだ。」
…分かりやすく説明して下さるジェラルド様にまた教えて頂けるなんて、願ったり叶ったりだわ!最近のジェラルド様って、以前のように抱きついたり甘い言葉囁いたりされないし、話も面白いから、一緒にいて楽なのよね…。
「是非お願いします!いつでも公爵邸へいらして下さい!」
私はにこやかに微笑んだ。
「本当に?!嬉しいよ!」
ジェラルド様も嬉しそうに笑顔を見せて下さった。
「はぁ…はぁ…。」
「本を読み出したら止まらなくなるわ…!3時に約束していたのに、最低だわ私!!」
全速力で医務室へと向かった。
はぁ…はぁ…もっと早く走れないかしら……?
「こら!廊下を走るな!」
「きゃ!?イル先生!?」
……しまった……!
私はイル先生に謝り、歩いて医務室へと向かった。
……終わった……。
医務室へ入ると、ダグラス先生とアラン様が薬草を瓶詰めにされていた。……が、終わった様子だ。
「遅かったな。もう今日の仕事は終わったぞ。」
…はい。そうだと思いました…。
「……ごめんなさい……。」
……私、何やってるんだろう……?本物のビアンカなら、こんなことにならないよね……?
読んで下さり、ありがとうございました!!




